うさぎさんの長寿の秘訣は、定期的な健康診断と体調に合わせた丁寧な飼育にあります。飼いうさぎでも15歳を超えた子も増え、平均寿命自体も伸びてきているようです。ペットうさぎでも平均寿命の長い種類、短い種類があるのかについて調査しました。うさぎさんと少しでも長く暮らしたいというのは、飼い主さん共通の願いです。
ライフサイクルで変わるうさぎさんの魅力と種類別の平均寿命、長生きの方法についてご説明します。

うさぎの年齢、人間で言うと何歳?

うさぎ寝そべり_うさぎの平均寿命は何歳?〜長寿の秘訣〜
個体差はありますが、人間の年齢に換算してみると、だいたい次のようになります。

うさぎ 1ヶ月 2ヶ月 3ヶ月 6ヶ月 1歲 3歲 5歲 6歲 7歲 9歲 11歲 13歲 14歲
2歳 5歲 7歲 13歲 20歲 34歲 46歲 52歲 58歲 71歲 82歲 91歲 98歲

すべてのうさぎさんが、同じように成長するわけではありませんが、目安として年齢でライフサイクルを5つにわけました。成長段階によってうさぎさんはどんな姿を見せてくれるのでしょうか。

うさぎのライフサイクル

幼児期(誕生〜30日)

ウサギは1回の出産で2〜10匹の赤ちゃんを産みます。目も開かず、毛もない状態で、体重は30〜40g、ピーマンよりも軽いのです。飼い主さんであっても人間の匂いが赤ちゃんにつくと、親うさぎは警戒して育児放棄をしてしまうことがあります。親うさぎがいるのなら、お世話は任せましょう。

【参考記事】
【うさぎの赤ちゃん】誕生〜離乳期間までどうすればいいの?

🐇ワンポイント・アドバイス🐇

うさぎさんの子育ては1日に数分程度で、一見育児放棄しているように見えてしまいます。育児放棄と勘違いして慌てて赤ちゃんを取り上げてしまう事例をよくお聞きしますので、特に注意してください。

成長期(生後2ヶ月〜1歳)

だんだんとうさぎがうさぎらしくなってくる時期で、個性もしっかり出てきます。遊ぶのが好きなら一緒に遊ぶ時間を確保してあげる、寝るのが好きなら寝る時間はそっとしておくなど、個性にあった接し方を心がけましょう。

生後6か月を過ぎたら、避妊・去勢手術を検討しましょう。特にメスうさぎは避妊手術をしないと将来、子宮の病気にかかる可能性が高まります。体力があり、体への負担が少ないこの時期に行うのが理想的です。また、オスうさぎは、本能であるスプレー行動やマウンティングなどの繁殖行動を人間に制されると、ストレスを感じることがあります。繁殖行動が始まる前に去勢手術を行うことで、飼い主さんと良好な関係を保てます。

🐇ワンポイント・アドバイス🐇

男の子の繁殖行動やマウンティングは、ぬいぐるみなどのおもちゃを与えることである程度緩和させることができますのでお試しください。

青年期(1歳〜3歳)

肉体的にも精神的にも、活発になる時期です。うさぎさんが遊びたいようであれば、目一杯遊んであげましょう。
生殖器官も成熟しているので、避妊・去勢手術をしていない女の子と男の子が一緒の空間にいると、繁殖行動をしてしまいます。多頭飼いの場合やお友だちのうさぎさんと遊ばせるときは、同じ性別の子同士か一羽ずつ遊ばせましょう

🐇ワンポイント・アドバイス🐇

この時期のうさぎさんは、自己主張がとても強くなってきています。比較的トラブルが少ないと言われている女の子同士でも喧嘩をすることがあります。できる限り1頭ずつ遊ばせていただき、同性の子を一緒に遊ばせるときは特に注意してください。

【参考記事】
うさぎの繁殖方法とその注意点とは?

壮年期(4〜6歳)

人間で言うと中年、だんだんと肥満や体調不良が気になり始める年齢です。精神面でも自立し始め、ゆったりとした時間を過ごすようになります。マウンティングやマーキングなども年齢とともに落ち着く子が多いのだとか。
気を付けたいのがエサについてです。今までと同じ量、種類のフード・牧草を与えてしまうと、活動量や代謝の低下が原因で太ることがあります。年齢によってフードや牧草を変える、運動習慣を身に付けさせるなど肥満の予防を早めに行いましょう。
また、病院にかかる頻度が格段に上がるため、うさぎさんの健康と安全を考えると、お迎えしたとき、遅くとも壮年期までにはペット保険へ加入しておくのがおすすめです。

【参考記事】
うさぎのダイエット~うちの子、もしかして太ってる?~
うさぎはペット保険に加入したほうがいい?

🐇ワンポイント・アドバイス🐇

肥満の予防には、人と同様に運動と食事制限が一番効果的です。フードの量の調整やクレイングラスなどのカロリーの低い牧草を混ぜてあげるなどの工夫で予防することが可能です。

高齢期(7歳以上)

平均寿命が10歳以上といわれる飼いうさぎさんは7歳を超えると、もうおじいちゃん、おばあちゃんです。一日の大半をゆっくり寝そべって過ごすことが増え、落ち着いた時間を過ごします。
高齢うさぎさんは薬を飲む機会が増えますが、高齢期に入ってから新しい食べ物を与えると、強い拒否反応を示す可能性があります。「慣れてない味」に拒否を示す子だと、エサに薬を混ぜても食べてくれないかもしれません。
また、食が細くなる高齢期に入っても、幅広い食べ物から栄養を採れるように、若いうちからいろんな味を覚えさせましょう。

【参考記事】
高齢うさぎの介護

【参考書籍】
『はじめてでも安心!かわいいうさぎの育て方』(2018年)大里美奈 著
『毎日楽しい!はじめてのうさぎの育て方』(2014年)岡野祐士 監修
『新版 よくわかるウサギの健康と病気』(2018年)大野瑞絵 著、曽我玲子 監修
『新版 くわしいウサギの医・食・住』(2008年)桜井富士朗・大竹隆之 監修

ペットうさぎの平均寿命は種類で違う?

ペットのうさぎの平均寿命は少し前までは7~8年と言われていましたが、近年10年~12年程まで伸びてきたと言われています。

ペットとして人気の「ネザーランドドワーフ」「ホーランドロップ」「ミニウサギ」について詳しく見ていきましょう。

ネザーランドドワーフ


ツンと立ったお耳がトレードマークのネザーランドドワーフは、ペットうさぎの中でも最も人気のある子です。

ネザーランドドワーフの平均寿命は、近年では10年程度まで伸びてきました。

ネザーランドドワーフは丸顔であごが小さいため、不正咬合になりやすいものの、命に関わる重症にまで悪化することはめったにありません。

かかりやすい病気としては、先天的に鼻涙管(分泌された涙が鼻に流れるときに通る部分)が狭い子も多くいるため、鼻涙管狭窄(るいびかんきょうさく)があげられます。

鼻涙管狭窄(るいびかんきょうさく)になると目から涙が止まらないといった症状が起こります。治るまで涙を適宜拭いてあげましょう。

また耳も小さく短いため、うさぎさん自身で耳掃除がしにくいこともあります。出来ていないところは飼い主さんが助けるなどして耳の病気にかからないようケアしましょう。

どの病気、症状にも共通して言えることですが、命に危険が及ばないからといって病院に連れて行かないのはNG。症状が出たら、もしくは異変を感じたらすぐに動物病院へ連れていきましょう。

体重はシニア(6ヶ月〜)では約900g、耳も他のうさぎとくらべると小さい種類のうさぎさんで最小品種ともいわれています。うさぎさんによっては1kgを超える子もいますが、それでも他のうさぎさんと比べ小柄といえるでしょう。

ペットとして一緒に暮らすときは、小柄な体格ゆえ隙間に入って出てこれなくなったり、ものに挟まれたりする危険性があります。また、近くにいることに気づかず踏んでしまうなどの事故を発生させないように注意してください。隙間が出来ないよう部屋の配置を考える、ケージから出したら目を離さないなどの対策が必要です。

ロップイヤー(ホーランドロップ)


ロップイヤーとはたれ耳系うさぎさんの総称です。中でも小さい垂れ耳と愛嬌のあるポシャっとしたお顔が特徴のホーランドロップは、ネザーランドドワーフとともに人気を二分する存在です。

ロップイヤー種に分類されるホーランドロップもペットうさぎの平均寿命同様10年~12年と言われています。

垂れ耳のため湿気が溜まりやすく、中耳炎などの耳の病気にかかりやすい傾向にあります。耳の中が汚れていないか、痒そうなそぶりを見せていないか定期的に確認しましょう。

ロップイヤーは丸顔のため鼻涙管が詰まりやすい傾向にあります。涙目になっているようであれば動物病院を受診いただくのが安心です。
また、ネザーランドドワーフに比べると毛量が多いためブラッシングはこまめにしていただくと病気予防になります。

ホーランドロップの体重はシニアで約2kg未満、ロップイヤー種で最も小柄な子です。好奇心も食欲も旺盛な子が多く、そこから起こる事故や、食べ過ぎによる肥満に気をつけましょう。年齢や運動習慣に合わせたご飯の量を与えるなど調整が大切です。

部屋んぽをさせていると、飼い主さんの後を一生懸命追う姿を見せてくれるかもしれません。大変愛くるしい仕草ですが、ケージの中と違い部屋は危険がいっぱいです。コードを噛まないようにする、目を離さないなどうさぎさんの周辺環境を整えてから出すようにしましょう。

🐇ワンポイント・アドバイス🐇

耳のケアはうさぎ専門店でも行っておりますが、耳垢が溜まっている場合は、うさぎに詳しい動物病院で鼻腔鏡を使って取り除いていただくのが一番きれいに取り除けますので、定期的に健康診断がてらお連れいただくのが良いと思います。

【関連記事】
獣医師監修:うさぎの鬱滞(うっ滞)
鬱滞(うっ滞)の予防に

ミニウサギ

ミニウサギの平均寿命も上記2種と同様、10〜12歳と長寿になってきているようです。

品種の違う小さいうさぎさん同士の間に生まれたミックス種であるミニウサギ。父親、母親どちらの遺伝子が色濃く出るかは、成長してからでないとわからないことも多いです。そこが魅力的な部分でもありますが長生きしてもらうためには、親うさぎがかかりそうな病気や特徴を知り、対策を立てることが1番です。

また、どの種にも共通して言えることですが、不正咬合などのかかりやすい病気の予防は必要です。

ミニウサギという名前は、日本に古くからいるウサギ(日本白色種:にほんはくしょくしゅ|別名:ジャパニーズ・ホワイト)と比べた時に小柄であることから名付けられました。日本白色種は大型種になりますので、ネザーランドドワーフやホーランドロップのような小型種よりは大きくなるのが一般的です。決して成長しても手乗りサイズ程度にしかならないという意味ではありませんのでご注意ください。

【関連記事】
獣医師監修:うさぎの不正咬合

寿命の短い種類、長い種類はある?

うさぎさんの種類によって寿命の短い種類、長い種類というのは実際のところ特にあるわけではありません。

種類によって、気をつけたいケアや病気はありますが、飼い主さんが理解して丁寧に接することで長生きしてもらうことは可能です。

もちろん人間と同じように体が弱い強いというのはありますが、種類によって短命だったり、長生きというわけではないのです。

ペットうさぎの平均寿命が伸びた理由は?


飼いうさぎさんの平均寿命は少しずつ伸びている傾向にあります。うさぎがここまで長生きできるようになったのは、以前に比べて、うさぎの食性に合ったフードの開発が進んだことや、うさぎの食事や体調管理に関する知識が飼い主さんに備わってきたこと、うさぎを診れる獣医師の数が増えてきたことが背景として考えられます。

ほかにも、早期の避妊手術により病気を未然に防げるようになりました。「うさぎがうさぎらしい生活」ができるよう支える環境エンリッチメントの考えが普及したことも一因です。飼いうさぎさんの寿命を少しでも長くするためにも、飼い主さんがうさぎファーストの考えをもって接することが第一です。

また正確な記録は残っていないものの、日本では17歳や19歳まで生きたという、うさぎさんもいたようです。

【参考サイト】
うさぎの環境エンリッチメント協会

🐇ワンポイント・アドバイス🐇

少し前までは7歳~8歳と言われていたうさぎさんの平均寿命は10歳程度に伸びてきたといわれています。
店舗に来てくれるうさちゃんの中には15歳!!という子もいますが年齢を感じさせない元気さです。
うさぎの平均寿命、まだまだ延びていってもらいたいものです。

ほかにも気になるうさぎの寿命あれこれ

ここまでは、品種別にペットうさぎの寿命をお伝えしました。ここからは野生のうさぎの平均寿命やギネスに登録されたペットのうさぎの最長年齢についてについてご紹介します。

野生のうさぎの平均寿命は2~3歳

飼いうさぎのご先祖ともいわれ、現在も野生で生息しているアナウサギの場合、2〜3歳で寿命を迎えるケースがほとんどです。これは、常に肉食動物に狙われる運命にあるうさぎならではの数字と言えます。
また、強いオスやメスと縄張り争いをしたときの傷が致命傷になり、命を落とすこともあります。

【参考記事】
ペットうさぎのご先祖は「アナウサギ」?

ギネスに登録されたペットうさぎの最長寿命とは?

ギネスに登録された最長寿命は「16歳」、人間の年にするとなんと約112歳になります。この記録は2019年2月9日に誕生日を迎えた、アメリカ・イリノイ州のうさぎ「ミック」くんによるもの。同年3月8日にギネス世界記録に登録されました。

周囲の飼い主さんから「15歳を超えたよ」などと耳にする機会もあり、ギネス記録はこれからさらに更新されそうな予感です。

ミックくんが長生きなのは、彼自身の素質と飼い主さんのこまめなケア、さらに適切な飼育環境によるものだと考えられます。ペットうさぎが平均寿命よりも少しでも長く健康にいるには、やはり飼い主さんの努力が必要不可欠ですね。

ちなみに、ギネスに登録されている野生うさぎの最長寿命は19歳といわれています。1964年にオーストラリアで生まれたうさぎによる記録です。

うさぎに長生きしてもらうためには?

うさぎ後ろ_うさぎに長生きしてもらうためには?
個体差もありますが、多くのうさぎさんが5~6歳になると病気にかかりやすくなり、ケージの隅っこにひっそりと座っていることが増えてきます。
うさぎさんに長生きしてもらうためには、日ごろからグルーミングや抱っこなどで体のチェックをし、子うさぎのときから定期的に健康診断に連れて行くなどの健康管理を徹底しましょう。

【参考記事】
うさぎにもツボはあるの?

ストレスは長寿の敵

直接的な関係はないものの、ストレスを抱えているうさぎさんは病気になりやすい傾向にあります。部屋で思いっきり遊ばせて、うさぎさんがストレスを溜めない環境を整えることが大切です。

【参考記事】
うさぎのストレスサイン ~毛を抜く・多飲・必要以上に体をなめる~

病気の予防と健康を第一に

病気の予防と健康は、長寿に欠かせないものです。年齢や生活習慣によってかかりやすい病気があります。うさぎさんは野生の名残りで、体調不良を隠す性質を持っています。飼い主さんが病気の知識を持ち、適切な飼育環境を整えてあげることが予防の第一歩です。病気の予兆を見逃さないように、少しの異変でも疑う心を持ち、うさぎさんに接しましょう。

うさぎさんの安全で快適な環境を整えることが長寿の秘訣です。適切なケージや用品を用意することですくすくと元気に、長生きしてくれるはずです。

ラビットリンクはうさぎ販売の専門店。飼育に必要な用品も取り揃えています。飼い主さんが疑問に思うことはお気軽にご相談ください。うさぎさんと飼い主さんの充実した毎日のお手伝いをしています。ぜひ当店の可愛いうさぎさん達に会いにきてくださいね。

【参考記事】
【ウサギの足】その役割とかかりやすい病気について
【症状と原因】ウサギの耳の病気


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佐俣

うさぎタイムズ編集部員、うさぎ専門ライターです。うさぎさんが、ただ「可愛らしいから」ではなく、正しく理解され、共に暮らすパートナー・家族としてお迎えしてもらえることを願っています。初心者の方にもわかりやすく情報をお伝えできればと思っています。