うさぎタイムズ編集部の佐俣(さまた)です。やわらかでボリュームのある毛に覆われたうさぎさん。長毛種となれば、毛糸や綿のかたまりのように見えるほどです。しかし、実際に抱き上げてみるとその体は見た目より軽く細いのが通常です。
とはいえ、中にはぎっちり身の詰まったうさぎさんもいます。それはそれでかわいいのですが、あまりに体重が増えすぎてしまうと生活に支障をきたしたり、病気を招いたりします。今回は、うさぎさんがどんな状態だと「太りすぎ」で、何に気を付けたらいいのか、見ていきます。

うさぎ 長毛種

どうなったら肥満?

うさぎには、いろいろな種類がいます。小型のネザーランドドワーフ、たれ耳のホーランドロップ、世界最大品種のフレミッシュジャイアントなど姿かたちもさまざまです。もちろん標準体重が違うので、体重だけで一概に肥満とは言いにくいのです。特に初めてうさぎを飼う方には判断が難しいでしょう。では、何を指標に肥満だと判断すればいいのでしょうか?

定期的な体重測定が大切

まずは定期的な体重測定で健康状態を把握します。さほど大きくならない種類でしたら、キッチン用のはかりでも十分です。カゴや箱などに入れて計測します。

うさぎは半年ほどで大人になるので、子どものうちは肥満になることはほとんどありません。子どもの頃から定期的に計測し、増加が落ち着いたところを基準の体重として覚えておきましょう。成長期は増加率が高いので気にしなくていいのですが、大人なのに急激に増加したり、何年たっても増え続けるようなら肥満が疑われます。

正式な基準

獣医は「ボディコンディションスコア(BCS)」という基準を使って判断します。これは、見た目や触診(皮下脂肪越しの背骨や肋骨の感触)により、脂肪の付き具合を確認し、体の状態を評価するものです。しっかり触らないと肋骨に触れられない、おなかが膨らんでいる場合は「太っている」とみなされます。
一般の方には難しく、特に長毛種ではわかりにくいので、うさぎの診察に慣れた獣医さんに最終判断はお任せしましょう。

🐇ワンポイント・アドバイス🐇

うさぎさんに詳しい獣医さんがお近くになければ、うさぎ専門店に相談してみてください。
うさぎ専門店のスタッフの皆さんは、日々たくさんのうさぎさんと接していて、肥満度合いはもちろんのこと、外見から四肢の異常などについても、教えていただけると思います。
※すべてのうさぎ専門店が対応していただけるとは限りませんので、まずはスタッフの方に聞いてみてください。

うさぎ 太り気味

うさぎのダイエット、まずはエサの見直しを

ペレット(ラビットフード)は体重あたりの推奨摂取量が決められています。しかし、もともと太っているうさぎの体重からペレットの量を算出すると与えすぎです。獣医さんと相談して、標準的な体重からペレットの量を割り出しましょう。
太っているからといっていきなりペレットをやめたら、うさぎさんの健康に大きく影響します。シニア用やダイエット用など低カロリーなものを利用しつつ、量を加減し適正量を見極めたいですね。
すぐに体重が減らなくても焦らなくて大丈夫。体の小さなうさぎですから、目に見えるほど痩せたら大変です。とりあえずは今の体重をキープすることを目標に、ゆっくり時間をかけて取り組みましょう。

🐇ワンポイント・アドバイス🐇

うさぎさんの体重と年齢、普段食べさせているフードの代謝カロリー(フードの裏目に記載されています)を入力すると、自動で1日の給餌量の目安を計算してくれます。
BCS(ボディ・コンディション・スコア)は加味していませんので、目安としてお使いください。
≪1日の給餌量を計算≫

肥満が原因で栄養不足に

うさぎにとって食糞は栄養を摂取するための大切な行為です。とはいえ、普段よく目にするコロコロのフンは、エサが十分にあれば基本的には食べません。
うさぎが食べるのは盲腸便という特殊な便で、通常はお尻に口をつけて直接食べます。盲腸便は、繊維質以外の成分を腸内バクテリアにより分解・発酵させたものです。タンパク質やビタミンB群、ビタミンKを生成し、栄養を吸収しやすい形にしており、うさぎの健康には欠かせません。

盲腸便

ところが肥満のうさぎは、脂肪が邪魔をして食糞ができないことがあります。人間ならば太りすぎで靴下がはけなくなるようなものです。
盲腸便の食べ残しがあるなら、普段の様子をよく観察しましょう。お尻に口が届かなかったり、食糞する動作が辛そうだったりしたら、肥満の疑いがあります。
脂肪は多いのに必要な栄養が摂取できていない状態が続くと、病気にかかりやすくなってしまいます。

肥満が原因の病気

体重が増えることで手足の関節に負担がかかります。関節そのものを傷めたり、足の皮膚に炎症が起こるソアホックになったりする可能性もあります。メスが太ると肉垂が大きく垂れ下がるので湿性皮膚炎に気を付けなければなりません。また内臓に負担がかかり脂肪肝などさまざまな病気を招きます。
体が重いと動くのが面倒で運動不足になるのも問題です。動きたがらないうさぎさんには、運動の時間のご褒美として規定量分のペレットを与えるのもいいのではないでしょうか。

参考記事
うさぎの脱毛(ソアホックについて説明があります)

肥満ではない場合も

注意したいのは肥満ではないケース。「おなかは膨らんでいるものの、背中には脂肪がない」「風船のようにおなかが張っている」など不自然に感じる場合は病気の疑いがあります。メスうさぎは子宮の病気で腫瘍が大きく膨らみ、太ったかのように見えていることがあるので、急におなかが出てきたと感じたら、すぐに病院で診てもらって下さい。

うさぎを迎えたいとお考えの方は、ぜひうさぎ専門店へ!

うさぎ専門店では、うさぎのお世話の仕方から、日常のケア、病気のときのアドバイスなど、専門店ならではのきめ細やかなサポートをご提供しているところが多いので、初めてうさぎと暮らす方でも安心です。
うさぎと暮らしてみたい方は、まずはうさぎ専門店に行かれてはいかがでしょう。


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佐俣

うさぎタイムズ編集部員、うさぎ専門ライターです。うさぎさんが、ただ「可愛らしいから」ではなく、正しく理解され、共に暮らすパートナー・家族としてお迎えしてもらえることを願っています。初心者の方にもわかりやすく情報をお伝えできればと思っています。