うさぎタイムズ編集部の天野です。人間と一緒に暮らしてくれるうさぎ、通称“カイウサギ”のご先祖は草原で暮らしている「アナウサギ」だと知りました。どうして自然界で暮らしていたうさぎさんが、人間と一緒に暮らしてくれるようになったのでしょうか。
目次
アナウサギについて
カイウサギのご先祖とされるアナウサギは、学術上で哺乳綱 ウサギ目 ウサギ科(Leporidae, Lagomorpha, Mammalia)に分類される「ヨーロッパアナウサギ」です。イベリア半島(フランスからスペインにかけて)に生息しており、小型で耳が短く、尾の下側が白いのが特徴です。色んな植物の葉、芽、枝、樹皮から栄養を摂っています。
ワーレンという巣穴で目的別の部屋を作る
ワーレンというトンネル状の巣穴を、森や草原に造り生活をしています。最長で全長45mにもなるワーレンは迷路のようなつくりになっており、使用目的に応じた部屋と、50以上の出入り口があります。
子どもの出産と子育てを行う産室があり、使用が終了すれば部屋の入口を土で固めて塞ぎます。睡眠をとるときは寝室を利用します。
また、巣の外の決まった場所にトイレがあり、巣を汚さず縄張りの主張をします。巣穴から150〜200mが行動範囲と言われています。
アナウサギが人間と一緒に住めるのは「共同生活」のおかげ
1〜3匹のオスウサギと、1〜5匹のメスウサギからなるグループを作るアナウサギ。中には20匹以上のグループになることもあるようです。同じ巣穴で過ごすことで子ウサギを守り、子孫繁栄や生存の可能性を高めていると考えられます。
共同生活の習性が残っているおかげで、飼いうさぎさんは人間や他の動物と一緒に暮らせるのです。
グループ内で行われる順位付け
ウサギの複数飼いが難しいといわれる原因の一つである順位付けは、アナウサギの習性です。グループ内の順位付けは、オスウサギ同士は激しく、メスウサギは比較的ゆるやかだと言われています。順位付けに勝利したオスウサギはメスウサギとの間に子を残せますが、負けたオスウサギは交配できずワーレンの監視役として一生を終えます。
メスウサギは順位付けの勝敗に関係なく子は産めますが、勝利したメスウサギはより安全な産室で子育てができるようです。
アナウサギとノウサギの違い
子育て以外では、基本一匹で行動するノウサギは、グループで活動するアナウサギと正反対です。同じ「ウサギ」でも違う部分が他にもたくさんあります。
体の作りが違う
穴を掘るためにしっかりした前足を持っているアナウサギと、走るためにしっかりした後ろ足を持っているノウサギ。アナウサギもノウサギも早く逃げる足の力はありますが、逃げる距離が違います。アナウサギは巣穴まで、ノウサギは天敵から逃げ切れるまで走ります。
産まれたときの姿も違う
産まれたときの姿も大きく異なります。ノウサギの赤ちゃんは生まれたときから毛が生え目や耳がしっかりしています。
アナウサギの赤ちゃんは、目も開いていない毛も生えていない状態で産まれます。
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日本に生息しているのは「ノウサギ」
ウサギといえば「白い毛をした真っ赤な目」を想像しますが、これは日本に元々いる「ユキウサギ」という品種のウサギです。
日本には現在ユキウサギを含め、ノウサギ、エゾナキウサギ、アマミノウサギの4種類が生息しています。
絶滅危惧種に認定されている種や行政の許可が必要になることもあり、家族として迎え入れることはできません。
ネザーランドドワーフ・ホーランドロップ…全然似ていないけど、祖先は全員「アナウサギ」
アナウサギを品種改良したことで、さまざまな種類のウサギが誕生しました。たれ耳系ウサギのホーランドロップも、まだら模様が愛らしいダッチ系も、祖先は同じ“アナウサギ”です。
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ご先祖を知って、うさぎと仲良く暮らそう
飼い主さんが困っているうさぎさんの行動も、実はアナウサギの習性であることがほとんどです。
同性相手に行うマウンティング行為や、穴掘り行為、足ダンも習性です。個体差はあれど、全てのうさぎさんにこういった行為は見られます。
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うさぎの習性・特徴について
うさぎの環境エンリッチメントで、幸福な暮らしを実現させてあげる
習性・習慣をやめさせることはできません。
習性を理解して、お互いが楽しく気持ちよく暮らせる環境を作ることが大切です。
そのような考え方を「環境エンリッチメント」といいます。飼いうさぎの幸福な暮らしのために飼い主さんができる対策はたくさんあります。ぜひ飼い主さん本位ではなく、飼いうさぎさん本位で生活環境を整えてあげましょう。
【関連サイト】
一般社団法人うさぎの環境エンリッチメント協会
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天野
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