フェレットくんと暮らす飼い主のみなさん、こんにちは。
フェレット情報局は、フェレットの生態・お世話の仕方について、専門店『フェレットリンク』のスタッフが発信するメディアです。

今回のテーマはフェレットとの遊び。
「人が飼える小動物の中で、もっとも遊び好きなペットのひとつ」と表現されるほど、陽気によく遊ぶフェレット。楽しむ姿を見るのは飼い主さんにとっても幸せな時間ですよね。おもちゃを充実させてあげたい、フェレットのもっと喜ぶ遊び方を知りたい、という方へヒントをお届けします。

フェレットにとって遊びは大切

はじめに、フェレットと「遊び」の関係を考えてみましょう。私たち人間の感覚だと、遊びは「娯楽」ですが、フェレットにとっては狩りや戦いなど生きるための技術を学び練習するためのものです。
フェレットは生後4週目のまだ目が開いていないうちから早くも遊び始め、6週目から14週目にかけて、もっとも活発に遊ぶと言われています。

遊びが生きるために必要なスキルを身につけるための行動なら、大人のフェレットに遊びは不要でしょうか? そんなことはありませんよね。フェレットが大人になってからの「遊び」は、仲間や飼い主さんとの絆づくりのために重要な、社会的行動だと言われています。また、遊びで身体を動かすことは肥満防止にも大切ですし、もちろんストレス解消の手段としても不可欠です。

「遊び」というと、食餌を与えること、飼育環境を衛生的に保つことなどに比べると、優先順位が下にくるようなイメージもあるかもしれません。しかし、フェレットが楽しく思いっきり遊べるよう、おもちゃを用意する、環境を整える、そして一緒に遊んであげることも、フェレットの健康的な生活には欠かせないんです。

気づいてた? こんな行動はフェレット的「一緒に遊ぼうよ」のサイン

フェレットが飼い主さんを遊びに誘う時に見せる仕草をご存知でしょうか。

「ウィーゼルウォーダンス」はフェレットが幸せで興奮し、ワクワクに満ちあふれていることを全身で表現しています。ぜひ一緒に遊んであげてください。
また、飼い主さんに近づいてから走り去るのを繰り返したり、飼い主さんの足に捕まり立ちしてくるのも「ねぇ遊ぼうよ」のボディーランゲージです。

これらのサインに気づいたらぜひ相手になってあげたいものですね。飼い主さんとフェレットくんは一緒にどんな遊びができるのでしょうか。

今すぐ簡単にできる!フェレットと一緒に楽しめる遊び方・バリエーション

まずは飼い主さんが身体を使って、一緒に遊んであげましょう。

(1)追いかけっこ

「追いかける」動作は狩猟本能を刺激するので、フェレットが大好きな遊びです。
飼い主さんが逃げる姿を見ただけで早速追いかけてきてくれる子もいますが、きっかけがつかめない子もいます。おすすめは、フェレットにちょっとタッチしてから飼い主さんが逃げる方法。お気に入りのおもちゃがあるなら、最初におもちゃを与えた後、飼い主さんがそれを奪って逃げることでも追いかけっこがスタートします。

追いかけっこは長い廊下でやると全力ダッシュできて運動量も増やせます。始める前に床を片付けて、フェレットも飼い主さんも動き回れるスペースを作ってください。そしてもちろん、フェレットをうっかり踏まない・蹴らないよう足元には十分気をつけてくださいね。

ちなみに「追いかけてくるってことは、私のことを獲物と思ってる?」と気になる飼い主さんもいるかもしれませんね。でも大丈夫、フェレットは兄弟間でもよく追いかけっこをして遊びます。
なお、神経質な子や不安が強い子、お迎えしたばかりでまだ環境に慣れていない子は追いかけないようにしてください。

(2)格闘ごっこ

フェレットは他のフェレットと格闘ごっこをするのが大好き。飼い主さんの手を仲間のフェレットに見立てて、相手になってあげましょう。
寝かせたフェレットのおなかをくすぐると、フェレットは前足や口で押しのけようとします。サッと手を引き上げると、また飛びつき、「もっと!もっと!」と要求してくるので、繰り返しやってあげてください。手をつかまえたり上にのっかったりと、じゃれてきます。

ヒートアップしてくるとウッカリ飼い主さんを噛んでしまう子もいるので気をつけてください。遊びの時の噛み癖がなかなか抜けない、という子は、後述のおもちゃを使った遊びが向いていますね。

関連コラム:フェレットの噛み癖は直せる!正しいしつけのやり方

格闘ごっこからの派生で、ロープ状のおもちゃや、古いタオルなどの片端をフェレットに咥えさせ、もう片方を飼い主さんが引っ張って力比べをする「つなひき」もおすすめです。

(3)宝さがし

お気に入りのおもちゃを隠して、フェレットに探させます。秘密基地にいろいろなグッズを隠したがるフェレットですが、探索して発見するのも大好きです。フェレットがおもちゃをなかなか見つけられない場合は、隠した場所から名前を呼ぶとヒントになります。

バリエーションとして、飼い主さん自身が別の部屋に隠れてからフェレットの名前を呼ぶ「かくれんぼ」もできます。

(4)「魔法のじゅうたん」ごっこ

毛布やバスタオルを床に置いて、ガサガサと動かすと「何かな?」と興味をひかれたフェレットが近寄ってきます。飛び乗ったところで毛布を引きずって動かしてあげてください。上に乗って楽しむ子が多く、英語圏ではよく「魔法のじゅうたん」と表現されています。大判のタオルを使えば同時に複数匹が飛び乗れるので、多頭飼育にもおすすめの遊びです。タオルケットの上に乗るフェレットー【トンネル・ボール】フェレットの喜ぶおすすめおもちゃ・人気の遊び方から手作り方法まで

【フェレットのおもちゃ】どれがいい? 選び方

ここからは、おもちゃを使った遊びをご紹介します。

おもちゃはフェレットとの暮らしの必須アイテム?

おもちゃがあれば、遊びのバリエーションが豊かになるだけではありません。

・お迎えしたばかりで飼い主さんもフェレットもお互いの存在にまだ慣れておらず、どうやって一緒に遊んだらいいのかイマイチわからない
・飼い主さんと遊ぶと興奮しすぎてついつい噛んでしまう

こんなケースでも、おもちゃ相手なら思い切り遊びを楽しめます。

探究心旺盛なフェレットは、退屈すると引き出しに頭を突っ込んだり棚の裏に潜り込んだりと、「ちょっとそれはやめて」とお願いしたくなる行動に出てしまいがち。おもちゃをうまく取り入れて、安全かつ安心な遊びをしてもらいましょう。

安全第一! おもちゃを選ぶときのチェックポイント

フェレットにおもちゃを与える前は、安全性を十分、確認する必要があります。まだ飼育頭数の少ないフェレットですから「フェレット専用」のおもちゃは少なく、ネコやイヌ・他の小動物用のものを与えるケースも多いかと思います。フェレットが遊んでも大丈夫かどうかは、以下のポイントを参考にチェックしてください。

(1)サイズ

フェレットの体格に合ったものを選んでください。理想的なサイズはおもちゃの種類によって異なります。
ぬいぐるみならフェレットと同じくらいの大きさでもOKですが、ボールはテニスボールくらいのサイズにしましょう。小さすぎると飲み込めてしまいます。目安として、ピンポン玉よりも小さいものはすべて誤飲のリスクがあるので避けましょう。

また、トンネル状のおもちゃは肥満になると入れない、中で身動きが取れなくなってしまうなどのおそれがあります。使い始めた後も、トンネルから出づらそうにしていないかなど定期的にチェックしてください。(関連コラム:【フェレットの肥満】ぽっちゃり?太りすぎ? 適正体型のチェックとダイエット方法トンネルで遊ぶフェレットー【トンネル・ボール】フェレットの喜ぶおすすめおもちゃ・人気の遊び方から手作り方法まで

(2)素材

フェレットに多い事故といえば、食べものではないものを食べてしまう「誤食」。(関連コラム:【誤食・誤飲】食べ物でないものを口にしてしまう!特に注意したいもの
特にスポンジやゴムといった弾力を感じる柔らかい素材は、噛み心地が良いためか大好きな子が多いんです。
「シャーペンを咥えて持っていったと思ったらハンドグリップの部分をかじりとって飲み込んでいた」「ウンチから消しゴムが出てきた」「サンダルの底を食べてしまい腸閉塞に」などの事故は非常によくあります。
以下の素材でできたおもちゃは与えないようにしましょう。

・スポンジ
・薄くて柔らかいプラスチック(ラテックスやシリコン)
・発泡スチロール
・ゴム

気をつけたいのが、イヌの歯磨き目的などで販売されている柔らかいゴム製のおもちゃで、フェレットなら簡単に噛みちぎれてしまうようです。フェレットに与えるには、ハードなプラスチック製が適しています。

(3)鋭いもの・壊れやすいもの・布製品には要注意

鋭いものや尖った部分が危険なのはいうまでもありませんが、思わぬ危険が潜んでいるのが布製品です。布はほつれて破けると糸が出てきますが、フェレットが飲み込めば消化管閉塞のリスクがありますし、足に巻き付いて血液の循環障害におちいるおそれも。

寝床としても大活躍のハンモックだって例外ではありません。「ハンモックの中で巣作りのようにホリホリするうちに底の糸が出てきてしまい、糸が何本も下へU字型に垂れ下がった状態に。そのままにしていたらある日、糸に絡まって宙吊りのフェレットを発見」という悲しい事故もあったそうです。布製品は必ず、定期的に状態を確認してください。

ちなみに柔らかな触り心地が大好きな子も多いフリース素材は、長く使用してもほつれ糸が出ないのでフェレットに最適です。切り株のおもちゃから顔を出すフェレットー【トンネル・ボール】フェレットの喜ぶおすすめおもちゃ・人気の遊び方から手作り方法まで

(4)おもちゃに小さな部品がないか

ぬいぐるみの目や鼻などの小さな部分は、誤食のリスクがあります。フェレットが咥えて振り回す、噛み付くなどしたとき、ポロっと取れる可能性のある小さな部品がついたものは避けましょう。

おもちゃで安全に遊ぶには定期メンテナンスと見守りが必須

フェレットは時にはかなり激しい遊び方を好みますから、おもちゃはある程度「定期的な買い替えを前提とした消耗品」と割り切ることが必要です。週に1度は全部のおもちゃをチェックして歯型で穴があいていないか、縫い目が緩んでいないか、その他の損傷がないかを確認しましょう。

また、たとえフェレット用のおもちゃでも、最初から完全にフェレット任せにして好きに遊ばせるのはおすすめできません。アクティブなフェレットですから、飼い主さんの思いもよらぬ遊び方にチャレンジすることもあります。想定外の使い方をした場合、事故につながるリスクがあるので、特に初めて与えるおもちゃはケージに入れて放置せず、必ず見守り下で遊ばせてください。

「このおもちゃ、フェレットにOK?」不安なら専門家に相談を

フェレットをお迎えしたばかりの時は、どんな行動をするかまだ十分には予測できないものです。「このおもちゃを試してみたいけど、大丈夫かな?」と判断に迷うときは、獣医師やフェレット専門店のスタッフに聞いてみると安心ですね。

例えば、ハムスターなどの小動物で一般的なボールの中に入るタイプの回し車、通称「ランナーボール」ですが、海外ではフェレット用の大型サイズも販売されています。一見、楽しそうにも思えるのですが、飼い主さんの中にはケガのリスクがあるので推奨しない考えの人もいます。
この製品は、国内では一般にはほぼ流通していないので、特別注意をする必要はないのですが、フェレット用とうたって販売されている製品でも使用する前には必ず「事故のリスクがないか」を考えてあげましょう。

フェレットのお気に入りはどれ? おすすめのおもちゃ

フェレットに人気のあるおもちゃをご紹介します。

猫じゃらし

一般的な猫じゃらしを、猫にするのと同様の使い方でフェレットにも使えます。「格闘ごっこ」で飼い主さんの手の代わりに猫じゃらしを使えば、ヒートアップしたフェレットに噛まれる心配もありません。

猫じゃらしは飼い主さんが椅子に座ったままでもフェレットは走ったり飛び跳ねたりと運動量がしっかり確保できるので、エクササイズ目的にもおすすめです。
なお、ターゲットを捕まえられないとフラストレーションがたまるので、最後は常にフェレットが猫じゃらしをキャッチして終われるようにしてあげてください。

トンネル

フェレットのおもちゃの代表格といえばトンネルです。連結できるタイプのものなら自由自在に延長できます。フェレットが楽に入れるサイズのものを使用しましょう。長ければ長いほど楽しそうに思えますが、1.5〜2メートル程度でも十分です。
飼い主さんが出口で待っていてあげて、フェレットの頭がトンネルから飛び出した瞬間、鼻を軽くタッチしてあげるとくるっと向きを変えて引き返していきます。

穴に入りたがるのはフェレットの本能的な行動ですから、トンネルの中ではテンションMAXで、犬のように尻尾を振る子もいます。

ボールプール

誤食を避けるため、中のボールのサイズと素材には注意してください。硬いプラスチック製が安心です。

ぬいぐるみ

布製のぬいぐるみはフェレットにも人気です。目と鼻など、プラスチック製の小さな部分には注意しましょう。

ボール

1人でサッカーのように転がして遊んだり、飼い主さんと一緒に「キャッチボールごっこ」をしたりと大活躍。キャッチボールは、空中に投げるのではなく、地面に転がしてフェレットに取りに行ってもらいましょう。

音が鳴るものや光るものなどさまざまなボールがあるので、素材・サイズ・硬さはおもちゃの選び方を参考にしてください。バウンドするボールも喜ばれますし、少し変わり種では、中にペレットを入れて、転がすことで少しずつ出てくるタイプのものもあります。ただし、小さな「スーパーボール」は誤食の可能性があるのでNGです。

噛む・かじる系のおもちゃはフェレットには向かない?

ウサギやハムスターでは「かじり目的」のおもちゃが人気ですが、フェレットは異物による閉塞を起こしやすいため、噛む目的・かじる目的のおもちゃは基本的にあまり与えません。それでも、「色々かじりたがるからかじってOKなおもちゃを与えたい」場合は、硬いプラスチック製などかじっても損傷しにくいものにし、常に見守っている状態で使用し、使用後は必ずおもちゃの損傷を確認してください。 

フェレットのおもちゃは自作できる?「家にあるもの」はおもちゃにしてOK?

「こんなおもちゃが欲しいんだけどピッタリのものが見つからない」「うちの子だけのお気に入りのおもちゃを用意してあげたい」という飼い主さんで、おもちゃを自作する人もいます。また、購入してもすぐにボロボロにしてしまうから、家にあるグッズをおもちゃとして遊ばせたいということもあると思います。
ここでは、フェレットのためのDYIおもちゃのヒントを少しだけご紹介します。
※安全管理には十分に気をつけ、必ず飼い主さんの見守り下で遊ばせることが前提です。

プラスチック袋と紙袋

フェレットは「袋」が大好きで、床の上の袋を見つけたら必ずといっていいほど近寄ってきます。中に入って遊びたがりますが、窒息のリスクを考え、袋のサイズには注意してください。また持ち手のついた紙袋は、持ち手がフェレットにからまると怪我の危険があるので、切ってから与えましょう。

段ボール箱

猫は段ボール箱が好きな子が多いようですが、フェレットも負けてはいません。中に入って熱心に探索します。「複数の箱をつなげて穴を開けて通路を作り、秘密基地のようにするととても喜んだ」との話もあります。

トイレットペーパーの芯

トイレットペーパーの芯はトンネルのようなものなのですが、トンネルより小さいところがよりワクワク感を演出するのか、フェレットは非常に興味をそそられるアイテムのようです。

そのままではフェレットがトイレットペーパーの芯に頭を突っ込んだ際、詰まってしまい危険なので、ロールの片側をカットしてから与えてください。

ライスボックス

穴掘り大好きなフェレットが夢中で遊ぶおもちゃとして英語圏のウェブサイトでよく紹介されているのが「ライスボックス」です。大きさと深さがありフタつきの透明の入れ物に、お米を入れてフェレットを中に入れ、掘らせる・潜り込ませるなど好きに遊ばせます。

米ではなくパスタ・乾燥大豆などでも良いそうですが、米は粒が細かいのでフェレットが食べても消化管に詰まる心配がないのに加えて、ジャスミンライスなどを使うと皮脂を吸収してくれるのでフェレットの体臭が軽減されるとのこと。容器の底におやつを埋めておくのも盛り上がるそうです。

お米を動物の遊び用にするのは日本人の感覚ではどうしてももったいなく感じてしまいますので今後も国内で浸透するとは思えませんが、フェレットにとってはとても楽しい遊びのようです。

遊びを充実させてフェレットの毎日をもっと楽しく

フェレットの遊びのアイデアはまだまだあります。また、同じおもちゃを与えても大はしゃぎする子と見向きもしない子など、個性があらわれるところだと思います。同じ遊び方・同じおもちゃばかりでは飽きてしまうので、複数のおもちゃをローテーションするのも長く楽しむためのコツです。
ネズミのおもちゃをに鼻を寄せるフェレットー【トンネル・ボール】フェレットの喜ぶおすすめおもちゃ・人気の遊び方から手作り方法まで
なお、「遊んでいるうちに姿が見えなくなり脱走していた」などの事態を防ぐため、遊び始める前は室内の安全をあらためて確認しておくことをおすすめします。
関連コラム:【室内飼育・放牧時の事故防止】フェレットと暮らす家の安全対策

また、フェレット専用のプレイルームを設けているフェレット専門店もありますので、ケアやお買い物の際に立ち寄ってみるのもいいかもしれません。


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橋爪宏幸

フェレット情報局局長。 フェレット専門店フェレット・リンクのオーナー。 ExoticpetSaver FirstResponder/ExoticpetSaver Emergency Rescue Technician。 まだまだ分からないことが多いフェレットの世界。フェレットとの暮らしに少しでもプラスになるように、世界中からフェレットの情報を集めて発信していきます。