フェレットくんと暮らす飼い主のみなさん、こんにちは。
フェレット情報局は、フェレットの生態・お世話の仕方について、専門店『フェレットリンク』のスタッフが発信するメディアです。

今回のテーマは、フェレットと暮らす室内の安全対策。
エネルギッシュに動き回るフェレットくんは、毎日ケージから出して遊ばせてあげる「放牧」が必要なので、室内の安全対策は必須です。「気をつけていたのに、事故の一歩手前でヒヤッとした」という話を聞くこともありますが、対策にお困りの飼い主さんも多いのではないでしょうか。
フェレットを飼育する室内で注意したい箇所と、安全対策のアイデアをご紹介します。ボールで遊ぶフェレット

目次

フェレットの放牧や放し飼いで、室内の安全対策が大切な理由

人間と暮らすフェレットの生活は、事故と隣り合わせ。はっきりとした統計はありませんが、ケージなしの「放し飼い」がフェレットの死亡事故の原因で最も多いという説もあるくらいです。このことには、フェレット特有の性質が関係しています。

高い運動能力と強い好奇心、学習能力と粘り強さが招く「想定外」

フェレットは、小さな体には見合わないほどのパフォーマンスとパワーを秘めた生き物です。起きている間は常にすばしこく走り回っているうえ、短い手足ながらも結構なジャンプ力を発揮します。50cmほどの高さの壁を乗り越えた、なんて話を聞くこともあります。

さらに、強い好奇心を持っており、学習能力が高く、粘り強いのも見逃せないポイントです。フェレットを放牧すると部屋の隅々まで熱心に「調査」を始めますが、少しの失敗では諦めません。引き戸くらいなら簡単に開けてしまう子もたくさんいます。

そんなフェレットくんをケージから出したら「やったー、自由だ!」という興奮も相まって、飼い主さんの想像を超えた行動に出ることがあるのです。こちらを見る2匹のフェレット

500円玉1枚分の大きさもフェレットなら通り抜ける!? 細く小さな体も事故の誘因に

ネズミやウサギの巣穴を思い出して狩猟本能が刺激されるのか、フェレットは狭いところに興味津々。細長い体は狭い場所の探索に最適で、家具と床のわずかなスペースを見つけてどんどん入り込みます。

個体差はあれどスマートな子なら、わずか2.5cm程度の隙間があれば侵入できてしまうと言われています。500円玉の直径が2.65cmですから、500円玉1枚くらいの隙間に入れてしまうと考えると、その対策の難しさがわかりますね。
狭いところに入り込むことで脱走や、途中で身動きが取れなくなってしまうなどの事故につながります。

「まさかこんなところで」意外な場所で眠るフェレット

フェレットは数時間寝て1時間ほど遊ぶというサイクルを繰り返し、1日の睡眠時間は平均18時間(関連コラム:【平均寿命】フェレットは何歳まで生きるの?)。さっきまで忙しそうに遊んでいたのにもうぐっすり、ということも珍しくありません。

フェレットが好んで「ベッド」にしたがるのが、地下の巣穴のように暗くて暖かい場所です。タンスや引き出しの中、ソファの裏など、飼い主さんの思いもよらないところでフェレットが眠り込んでしまった結果、事故が起こるケースがあります。黄色いマットで眠るフェレット

対策なくしての放牧・安易な放し飼いはトラブルに直結

さてこんな性質を持つフェレットくんですから、対策なしで自由に動き回らせようものならあっという間に部屋中はメチャクチャ。高所からの転落、家具にぶつかる、隙間で寝てしまい「迷子」になる、誤食、そして脱走ーーートラブルや事故は起こって当然です。

だからこそ、フェレットが出入りできる部屋には徹底的な対策が必要なんです。

【放牧前の確認必須】どのエリアにも共通する基本対策8つ

まず、気をつけるべき基本ポイントから確認しましょう。

①フェレットが入り込める隙間を作らない

特に注意したいのが家具の「下」。ソファや冷蔵庫のように短い足のある家具は、床との隙間を無くしましょう。足を取り外して隙間自体をなくす、ベニヤ板などをかませて隙間に入れなくする方法があります。なお、スポンジやゴムでできたグッズで隙間を埋めると、フェレットが噛んで飲み込んでしまうおそれがあるので、避けた方が良いでしょう。

ドアの下の隙間や、低い位置にあるガスヒーターやストーブの吹き出し口にも対策が必要です。

②引き出しは開けられないようチャイルドロックを設置

子どものイタズラ防止用のチャイルドロックを取り付け、引っ張るだけでは開けられないようにしてください。引き出し開閉のたびロックをかけるよう、家族にもお願いしましょう。

③電気コードやコンセントはかじり防止策を施そう

電化製品のコードはカバーで覆うか、噛むと苦みを感じる専用の薬品(ビターアップル)を塗るなどの対策ができます。また、コンセントの穴に爪を突っ込む子の場合、穴を塞げるコンセントカバーをつけると安心です。コンセントと電気コード

④ゴム製品は手の届かないところに保管

ゴム製品はフェレットの格好のおもちゃになります。独特の感触がクセになるのか、つい噛みついてしまう子の多いこと! ゴムを飲み込んで消化管に詰まってしまったら、手術が必要になるので噛ませないようにしましょう。

リモコンのボタンや、靴底、ドアストッパーの先端など、ゴム製品は身近な部分にたくさんありますが、すべてフェレットの触れない場所に保管してください。家具の一部に使われている場合は、可能なら、硬いプラスチック製など噛みちぎれないものに交換します。

⑤絨毯の下に潜れないようにする

ラグマットやカーペットは「下」に入り込みたくなるのがフェレットの心理。裏から絨毯をかじる、フェレットがいることに気づかずに踏んづけてしまうなどの危険があります。
絨毯は端をきっちり固定し潜り込めないようにする、または、めくれにくいタイルカーペットを敷き詰めるなどが対策になります。

⑥高所に登れないよう、家具の配置も確認しておきたい

高いところに登れてしまう家具の配置になっていないかの確認も必要です。
フェレットは家具を階段上に伝ったり、家具から家具へとジャンプしたりして高いところに登れる一方、視力はいまひとつ。(関連コラム:【視力と見え方】フェレットの目はどのくらい見えてる?)特に、両眼視できる範囲は狭く「高いところにいる感覚」が薄いため、高所からの転落による骨折がよく起こります。高いところには行かせないのが安全です。飛び上がるフェレット

⑦窓はすべて完全に閉めて脱走を防ごう

窓は、脱走へとつながる超・危険箇所。網戸は破って逃げ出すのでガードにはなりません。
かなり高い窓でも、壁に爪を立てたりカーテンを伝ったりしてよじ登る可能性もあります。
フェレットをケージから出す前に、室内のすべての窓を完全に閉めるよう徹底してください。特に、トイレや浴室の窓など、換気のために常時開けていることの多い窓は閉め忘れに注意しましょう。

⑧家具は転倒しない工夫を

扇風機、スピーカー、小型の飾り棚、ゴミ箱、鉢植えなどはフェレットの体当たりで転倒するおそれがあります。放牧前に別室やクローゼットの中に片付ける、もしくは、倒れないよう固定しておくことをおすすめします。

ではここまでの基本をふまえてエリアごとの対策を確認していきましょう。

キッチンのフェレット対策

キッチンはフェレットにとって危険がいっぱい。主な対策ポイントはこれだけあります。フェレットの侵入に注意したい台所のシンク

電化製品と壁・床の隙間を塞ごう

冷蔵庫やオーブンなどと、壁・床の間にフェレットが侵入しないよう隙間を塞ぎましょう。冷蔵庫の下など床に近いわずかなスペースは、人間の身長では死角となるため対策を忘れがちです。意外な隙間や開口部がないか、フェレット目線で確認しましょう。

シンクに上がってしまう可能性も考慮して

水遊びが好きなフェレットもいるため、シンクも遊び場にされかねません。生ゴミを放置しないようにしましょう。また、ディスポーザーつきの排水溝の場合、刃でケガをするおそれがあるので、キッチンに立ち入らせないようにしてください。

食べ物は出しっぱなしにしない

【中毒予防】フェレットに与えてはいけない食べ物・誤食に注意したいもの でご紹介した通り、人間の食べ物は基本的にフェレットに与えてはいけません。食べ物は調理台やキッチンカウンターの上に出しておかず、冷蔵庫にしまう、フェレット対策を施した棚の中に入れるなどしてください。

オーブン・食器洗い機の運転前には必ず中を確認しよう

オーブンや電子レンジ、食器洗い機の庫内にフェレットが入り込むこともないとは言えません。万が一、中で眠ってしまっている場合、気づかずにスイッチを入れてしまう可能性も。
電化製品の運転前には必ず中を確認してください。キッチンに置かれたオーブンレンジ

ゴミ箱は転倒防止と侵入対策を

生ゴミを捨てるゴミ箱はフタつきのものにし、侵入できないのはもちろんのこと、転倒しても中身がこぼれないようにしましょう。可能なら、生ゴミは調理のたびに家の外に保管していただくのが安全です。なお、ゴミ袋を捨てる前には念のため、フェレットが入りこんでいないか確認してください。

浴室・トイレのフェレット対策

浴室やトイレは事故のリスクが高いので入らせたくないエリアですが、フェレットをお風呂に入れるなど、やむをえない場合もあるでしょう。以下のポイントに気をつけてください。

毎朝使う洗面用具や洗剤は出しっぱなしNG

カミソリ、ピンセット、バリカン、毛抜き、歯磨き粉などの洗面用具、そして掃除用の洗剤などはすべて、フェレット対策を施した棚に収納してください。
トイレットペーパーやティッシュペーパーはおもちゃとして大量消費されてしまうので、隠しておいた方が無難です。洗面台

トイレ・浴槽はフタでガード

水遊びが好きな子では、お湯を張ってある浴槽やトイレの中に飛び込んでしまう可能性がありますから、フタを閉めておいてください。また、お湯を溜めていない浴槽も排水溝に侵入してしまうおそれがあるので、立ち入れないようにしておきましょう。

洗濯機は運転前に必ず内部を確かめよう

洗濯が終わってフタを開けたら中からフェレットがーーー そんな恐ろしい事故が実際にアメリカで起きました。奇跡的に一命を取り留めたそうですが、かなり幸運なケースです。洗濯機や乾燥機を使っていない時にはドアを閉めておき、運転前に必ず中を確認してください。

また、一部のフェレットは洗濯カゴの中で衣類に埋もれて寝るのが大好きです。カゴから洗濯機に洗濯物を移す際、がさっと一度に入れることは避けた方が良いでしょう。

リビングのフェレット対策

フェレットの放牧場所として選ばれやすいリビングは、キッチンや浴室に比べれば危険度は低め。とはいえ対策は必要です。

リクライニングチェアを作動させる・ソファに座る際はフェレットの居所確認を

短い足のついたリクライニングチェアやソファは、下の隙間にフェレットが潜り込みがち。裏側から引っ掻いて裏地を破り、椅子の中やスプリングの中に入り込んでしまうこともあります。フェレットの居場所がわからなくなったら、絶対に操作したり座ったりしてはいけません。特に、来客時は注意してください。ソファに置かれた黄色いクッション

観葉植物は「掘り返し」、水槽は「転落」のリスクあり

フェレットは観葉植物の根っこを掘り返すのが大好き。植物がダメージを負うだけでなく、化学肥料などが使われている場合はフェレットにとっても有害です。さらに、観葉植物の中にはフェレットに毒性があるものもあります。熱帯魚の水槽も、覗き込んで転落したり、手を突っ込んでひっくり返したりする危険があります。
これらはフェレットの出入りする部屋には置かないのがベストです。

クローゼットの扉は必ず完全に閉める

きっちり扉を閉めて侵入を防いでください。クローゼットにフェレットが入ると、吊り下げられた洋服を登って上まで移動し、落下するリスクがあります。また、クローゼット内にいるフェレットに気づかず扉を閉めてしまった場合、出られなくなり、暑い季節であれば脱水などに陥ることも。
薄暗くて狭いクローゼットはフェレットの探究心をくすぐる場所ですから、十分に注意してください。

小物はフェレットの触れないところに片付け、床の上もチェックを

灰皿、ライター 、タバコ、電子機器のリモコン、観葉植物、薬、アクセサリー類、おもちゃなど、テーブルの上につい出しておきたいものも、フェレット対策をした棚に片付けましょう。小さいものがうっかり落ちていないか、放牧前には床の上もチェックしてください。

エアコンのダクト穴の周囲も確認しておきたい

エアコンと室外機をつなぐ配管の穴が壁に開いている場合、脱走経路にならないか確認しておきましょう。粘土状のパテで埋めているなら隙間ができていないか、フタで塞いでいるなら簡単に外れないか確かめておくと安心です。エアコンとダクト穴

おすすめは「OKエリア」「NGエリア」を設定すること

ご紹介した通り、家中をフェレットにとって安全な「フェレット仕様」にするのはかなり大変です。対策の手間を考えると、フェレットが立ち入ってもOKなエリアとNGなエリアを決め、きっちり区切ってしまうのがベストです。

・浴室やキッチンなどのハイリスク場所を「フェレット立ち入り禁止」にする
・対策を施した一部屋を「フェレット専用ルーム」にし、その部屋の外には出さない
・部屋の一部分をパーテーション(※)で区切り、そこだけで遊ばせる

などのやり方があるでしょう。

※パーテーションは、イヌ・ネコ用や人間の赤ちゃん用では隙間からフェレットが脱走できてしまいます。高さや隙間のサイズや登れないかをを確認し、フェレットが脱走できないものを使用しましょう。
フェレット用パーテーション
ワンルームマンションなど間取りや広さの問題で、上記の方法が現実的でないこともあります。また、フェレットを「放し飼い」にしたい方もいるでしょう。
その場合にはフェレットの立ち入る場所のすべてに対策をしてあげてください。

フェレットくんが家の中で迷子に!出てきてもらう方法

放牧中、一瞬目を離したすきにフェレットくんの姿が見えなくなった、ということが時折起こります。きっと、隠れんぼを楽しんでいるのでしょう。居場所を確認できるまではゴミ捨てや電化製品の運転も避けたいですから、出てきてくれないと困ります。

自分から出てきてもらうためのコツは「フェレットがポジティブな気持ちになれる音を立てる」こと。フードの入った袋をガサガサと振る、お気に入りのおもちゃを使うなどして、フェレットが「ごはんだな」「楽しそう」と連想できる、聞き慣れた音を出しましょう。うまくいけば、隠れている場所から飛び出して戻ってきてくれます。遊び場のバスタブから顔を出すフェレット

しっかり安全対策しておけば飼い主さんも安心できる

万が一の事故を防ぐには「念には念を」が肝心ですから、今回はできる限りの対策をご紹介しました。フェレットの行動には個性がありますので、性格や放牧時の様子をよく観察して、その子に必要な対策を取り入れてもらえればと思います。
家庭内の安全対策でお困りのことがあれば、ペットショップやフェレット専門店で相談されるのも良いでしょう。

室内がフェレット仕様になっていれば「ヒヤリハット」もそう起こらなくなりますから、結果的に飼い主さんの負担減につながりますよ。
もちろん対策をしていても放牧時の見守りは必要ですが、のびのびと遊ぶフェレットをリラックスして眺めるのは、飼い主さんの至福の時間かと思います。安全対策を充実させることで、フェレットとの暮らしがより楽しいものになることを祈ります。


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橋爪宏幸

フェレット情報局局長。 フェレット専門店フェレット・リンクのオーナー。 まだまだ分からないことが多いフェレットの世界。フェレットとの暮らしに少しでもプラスになるように、世界中からフェレットの情報を集めて発信していきます。