フェレットくんと暮らす飼い主のみなさん、こんにちは。
フェレット情報局は、フェレットの生態・お世話の仕方について、専門店『フェレットリンク』のスタッフが発信するメディアです。

今回のテーマは、フェレットの飼い主さんなら避けては通れない脱走・迷子問題。うちは気をつけているから大丈夫、と思っていても、油断は禁物です。
脱走が起こった実際のシチュエーションをご紹介しつつ、予防策や、万が一の際の対処法をお伝えします。白いフェレットーどう防ぐ?フェレットの脱走・迷子

絶対に気をつけたいフェレットの脱走・迷子 なぜ起こる?

フェレットの「非常に狭い隙間でも通過する能力」「短い手足に似合わない高いジャンプ力」「小さな体格からは想像できないほど強い力」は、飼い主さんならよくご存知ですよね。これに、好奇心旺盛かつ粘り強い性格が合わさった結果、脱走・迷子につながり、大きな事故を招きます。

ちなみに、google検索に英語で” ferret escape”「フェレット 脱走」と入力すると、「名人」を意味する”artist”が予測変換で表示されます。英語圏でも「脱走名人」と称されるくらいですから、フェレットの高い脱走スキルは、世界共通認識であることが伺えます。実際、イギリスの地方紙では「脱走から5日後に警察署に”自首”した」なんてユニークなフェレットの話も紹介されていました。

帰巣本能のないフェレット 迷子になったらこんな危険が

このニュースのように自分からひょっこり出てきてくれればいいのですが、残念ながらフェレットには、帰巣本能がありません。イヌやネコでは時折、逃げ出しても翌朝には家に戻っていた、なんて報告もありますが、脱走したフェレットは、飼い主さんが探し出すしかないのです。
ペットのフェレットは、野生では生きてはいけません。交通事故に遭う、水路に落ちて溺れる、犬やカラスなど外敵に襲われる、高所からの転落など、外の世界には危険がいっぱい。厳しい暑さや寒さにも耐えられません。

さらに、フェレットが「加害者」になってしまうリスクも忘れてはいけません。狩猟本能が刺激され、小鳥やハムスターといったペットの小動物に危害を加えてしまう可能性がありますし、フェレットを触ろうと手を出した子どもに噛み付くかもしれません。

飼い主さんの管理下から離れることは、フェレットにとっても、周囲にとっても、大きな危険を意味します。脱走や迷子は絶対に避けたいものです。切り株の上のフェレットーどう防ぐ?フェレットの脱走・迷子

こんな時に起こっている!脱走のシチュエーション

フェレットの脱走は、以下のような状況で起こっています。

家の中で放し飼いにしていたら

・帰宅してドアを開けたら、玄関にいたフェレットが扉の隙間から外へ飛び出した
・飼い主さんの家族が洗濯物を干そうとベランダに出たら、フェレットも一緒に出て行った

放牧中に

・窓が開いているわずかな隙間を見つけたフェレットが、窓を開けて網戸を破り外に出ていた
・窓は閉めていたが施錠していなかったので、窓を自力で開けて脱走した
・サークルの中で遊ばせていたら、サークルの柵を飛び越えて脱走
・放牧部屋から飼い主さんが出る際にフェレットが一緒に出てしまい、飼い主さんが気づかず、そのまま脱走

散歩中に

・ハーネスからすり抜けて逃げ出した

ケージで過ごしている時に

・ケージの扉を飼い主さんが開けるやり方を見ていて学習し、内側から自分で開けて脱走
・ケージのバーとバーの間に頭を突っ込み、隙間を広げて脱走

「まさかそこまでやるとは」とびっくりした人もいるかもしれませんね。現場を見ていないと、にわかには信じられないかもしれませんが、フェレットの賢さ、粘り強さを侮ってはいけないのです。
さらに、「いつの間にかいなくなっていた」という報告も散見され、飼い主さんでもどうやって外に出たかわからないケースも少なくはないようです。

フェレットの脱走・迷子を予防するには

脱走が起こっているシチュエーションを知れば、自ずと対策も見えてきます。

放牧スペースは一部屋に限定し常に見守りを

フェレットをケージから出して自由に動き回らせるエリアは一つの部屋に限定し、極力、目を離さないようにしましょう。放牧部屋の安全対策は万全にし、定期的な見直しも行ってください。

関連コラム:【室内飼育・放牧時の事故防止】フェレットと暮らす家の安全対策

壁に沿って歩くフェレットーどう防ぐ?フェレットの脱走・迷子

「放し飼い」はハイリスクだと認識を

「放し飼い」はおすすめできません。家中に漏れなく安全対策をするのは飼い主さん側の負担が大きくなりますし、どうしても目が届きにくくなりますから、脱走だけでなく誤食やその他の事故のリスクも跳ね上がります。
「もっと自由に広い場所を探検させてあげたい」という気持ちもわかりますが、放し飼いの危険を十分認識したうえで、慎重な判断をしていただければと思います。

ケージからの脱走にも備えたい

ケージから抜け出す可能性も考えて、対策が必要です。バーとバーの隙間からのすり抜けを防ぐため、体格にあったケージを使いましょう。ケージの扉を閉めた後は、さらにナスカンで施錠すると安心です。ナスカンーどう防ぐ?フェレットの脱走・迷子

不測の事態に備えて、ケージを設置している部屋は、常にドアや窓を閉める習慣をつけると良いでしょう。

外出時はハーネスとリード、キャリー必須

外出時ハーネスとリードを必ず着用し、キャリーも携帯してください。万が一に備えてハーネスに専用の迷子札をつける手もあります。

フェレットは散歩のいらないペットですから、運動のためにあえて外に連れ出す必要はありません。しかし、病院受診やペットホテルへの移動といった、「どうしても」外出しないといけないケースもあります。また、外出は五感を刺激することができますので、安全を確保すれば生活の質を高めるとともにストレスの緩和にもなります。ただし、外出時は予期せぬ事態が起こりやすくなりますので、不必要な外出は避けた方が安全です。

フェレットが脱走・迷子になってしまったら

脱走してしまった際の対応を確認しておきましょう。

周囲を探す

脱走してすぐなら、そう遠くには行っていません。まずは家の近くから探します。身を隠せそうな狭いところや暗いところ、トンネル状になっているところなどを重点的に探してください。草むらのフェレットーどう防ぐ?フェレットの脱走・迷子

所轄の警察署・保健所・動物保護センターなどに届出を出す

「逃げ出したフェレットを探している」旨を届け出ましょう。誰かが保護してくれた場合、連絡がもらえる可能性があります。

情報提供を募る

フェレットの特徴を掲載したチラシやポスターを作って近所に配布・掲示したり、インターネットの迷子ペット専用掲示板で情報を募ったりして、手がかりを探します。なお、電柱や町内会の掲示板など公共の場所に掲示をするには、管理者の許可が必要です。

マイクロチップが入っているフェレット

ペットショップからお迎えできるフェレットの中には、あらかじめマイクロチップが埋め込まれている種類がいます。これはマーシャルフェレットで、全頭マイクロチップが装着されており、専用リーダーで読み取るとその子だけのオリジナルナンバーである「個体識別番号」がわかります。
そして、個体識別番号は、IFS国際フェレット協会で全頭管理していますので、この個体識別番号さえ分かれば、どの店舗からどなたにお迎えされた子かまで追跡することができます。
このようにマーシャルフェレットは、「迷子札がついているようなものだから安心」と言いたいところですが、実はそうとも言えないんです。
IFS国際フェレット協会が管理しているマーシャルフェレットは、IFS国際フェレット協会の正規販売店で取り扱われているマーシャルフェレットのみとなります。このため、正規販売店以外でお迎えされたマーシャルフェレットの子は追跡することができません。このため、折角フェレットを保護してくれた人が個体識別番号を読み取っても「どこのおうちで暮らしている子か」はわからないのです。

また、マイクロチップにGPS機能はついていないので、「フェレットがいる現在地」はわかりません。さらに、個体識別番号は、最初から飼い主さんの情報が紐づいているわけではありませんので、飼い主さんがご自身で、IFS国際フェレット協会へ登録申請しておく必要があります。これは、正規販売店でも登録代行してくれますので、お迎え時に販売で登録しておくと安心です。

IFS国際フェレット協会では、正規販売店以外でお迎えされたマーシャルフェレットやマーシャル以外のファームのフェレットも直接申請すれば登録してくれますので、いざという時のためにも登録してみてはいかがでしょうか。迷子になったフェレットが飼い主さんの元に戻るまでーどう防ぐ?フェレットの脱走・迷子

フェレットの個体識別番号を登録できるデータベースは「日本獣医師会のAIPO」や「IFS 国際フェレット協会」などがあります。複数のデータベースをまたいで個体識別番号を一括で検索することは現時点ではできませんから、保護してくれた人が検索するデータベースと、飼い主さんが登録したデータベースが異なれば、飼い主さんの情報は見つかりません。1箇所だけではなく、主要なデータベース複数に登録を行っておくのがベターです。
フェレットの場合は、登録数が最も多く、登録料も無料ですので、まずはIFS国際フェレット協会へ登録されるのが安心ですね。
※日本獣医師会AIPOへの登録には、オンライン登録で1,050円の費用がかかります。(2023.11現在)

「外に出たい」フェレットの気持ちを理解して上手に暮らそう

自由で元気いっぱい、縛られるのが嫌いな性格だからこそ、ケージや放牧部屋、家の「外の世界」はフェレットにとって非常に魅力的に感じられるようです。だからといって安易な放し飼いは事故・脱走・迷子のもと。飼い主さんの目が届かない時間はケージの中で過ごしてもらい、自由に動き回らせるのも基本的には決まったスペースに限定するのがフェレットにとって最も安全であることを忘れないでください。

<参考文献>
田向 健一『フェレット飼育バイブル 長く元気に暮らす 50のポイント コツがわかる本』メイツ出版、2021年


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橋爪宏幸

フェレット情報局編集長。 フェレット専門店フェレット・リンクのオーナー。 埼玉動物海洋専門学校 特別講師。 ExoticpetSaver FirstResponder/ExoticpetSaver Emergency Rescue Technician。 まだまだ分からないことが多いフェレットの世界。フェレットとの暮らしに少しでもプラスになるように、世界中からフェレットの情報を集めて発信していきます。