フェレットくんと暮らす飼い主のみなさん、こんにちは。
フェレット情報局は、フェレットの生態・お世話の仕方について、専門店『フェレットリンク』のスタッフが発信するメディアです。
今回のテーマは、フェレットのストレスサイン。人間はストレスで体調を崩すことがありますが、フェレットも同じです。ストレスが溜まったフェレットくんに現れやすい兆候についてご説明します。
目次
【身体編】これってフェレットのストレスサイン? 気をつけたい症状
ストレスが溜まったフェレットによく出る症状は、以下の4つです。
(1)食欲不振・体重減少
いろいろな原因でフェレットはフードを食べなくなりますが、ストレスでも食欲低下・拒食が起こります。
急激に起こればわかりやすいのですが、数日〜数週間かけてじわじわと食事量が減っていく、手渡しすると食べるが皿からは食べない、などでは飼い主さんが気づくのが遅れることも。日頃から、家庭での定期的な体重測定を行っておきたいものです。
(2)過眠
ストレスを受けたフェレットは、通常よりも多く眠ることがあります。
これは、病気にならないよう自らを守る反応とも考えられています。無理に起こさず好きなだけ寝かせてあげてください。
とはいえ、フェレットはもともと1日に18時間程度寝ているのが普通。高齢の子では1日に22時間近く眠ることもあり、正常か異常かを見分けるのは難しいものです。「急によく寝るようになった」「なんだか元気がない」など他の手がかりも総合して考えましょう。
(3)過度な毛づくろい・薄毛・脱毛
フェレットは被毛を舐め毛づくろいをすることで、清潔で艶やかな毛並みを保っています。ストレスがかかると、毛づくろいの頻度が上がったり、しつこく毛を噛んで引っ張ったりするため、被毛が薄くなることがあります。
(4)下痢や軟便・緑色のうんち
フェレットの下痢にはいろいろな原因がありますが、下痢を起こす細菌を保菌している子も多く、ストレスで免疫が弱った際に発症することがあります。
1日ほどで治れば良いのですが、 そうでなければ受診する必要があります。
下痢は脱水を起こし全身の循環を悪くしますし、長期的なストレスは消化管の潰瘍を引き起こすおそれもあります。命にかかわることもあるので、2日以上続くなら「たかが下痢」と様子見していてはいけません。特に、まだ体力も少ない子ども時代は注意が必要です。
身体の不調を即「ストレス」と結びつけるのはちょっと待って
ストレスサインを考えるうえで知っておいてもらいたいのは「こんな症状が見られたら100%ストレスのせいだ」といえるものはないということです。
私たちも腹痛を感じたら「食べ過ぎ?胃潰瘍?もしかして虫垂炎?それともストレスかな?」と思いをめぐらせます。フェレットも同じで、ストレスがないか丁寧に飼い主さんにヒアリングし、全身状態を診察しないと、獣医さんでさえ簡単にストレスサインとは判断できません。
上にあげた症状のいずれも、病気が潜んでいる可能性があります。特に、フードを食べないときは注意してあげてください。食欲不振はフェレットの重篤な状態を示す唯一のサインになることがあります。異物を飲み込んで消化管閉塞を起こしていれば、緊急の対応が必要です。
体調不良には、適切な受診が基本だと念頭に置いてくださいね。
【行動編】ストレスを感じたフェレットが見せる振る舞い
ストレスサインは身体的な症状だけではありません。人間と同じくフェレットでも、ストレスは精神面に影響を与え、以下のような行動の異常としてあらわれることがあります。
(1)攻撃性がアップする
なついていたフェレットに「遊ぼう」と手を出したら「シャー」と威嚇された、以前よりも噛みつき行動が増えた、など攻撃性が増したのは、もしかしたらストレスが原因かもしれません。また、本来はかじらない電気コードを執拗にかじるのも、ストレスのせいで出る攻撃性の一つです。
ただ、それが本当に「攻撃性」かは、よく見て判断したいところです。人間の基準で考えればフェレットの遊び方はかなり自由。アグレッシブにみえる行動も、フェレットにしたら「いつも通り」ということもよくあります。
観葉植物を掘り返し床一面に土を撒き散らす、ティッシュを箱から引き出し空箱をくわえてブンブン振り回すなどは、フェレットにとって「ふつうの遊び方」。元気いっぱい遊んでいるだけですから、心配は不要でしょう。
(2)隠れたがる・逃げたがる
ケージから出しても部屋を探索せず後退りする、怯えた様子で物陰に走り込み出てこない、「シャー」と鳴き声をあげながら尻尾を膨らませ部屋の隅に逃げる、などもストレスのあらわれであることがあります。
他にも、悲鳴をあげる、震える、触られると身がすくむ、動きたがらない、お気に入りのおもちゃやおやつを無視する、歯ぎしりなどがストレスサインになることも。
1匹として同じフェレットはいませんから、ストレスへの反応も違って当たり前。「すぐ噛み付くのは、ストレスのせいじゃない?」などと一概には言えませんが、上記の兆候が急に目立つようになったのであれば、ストレスを疑ってみてもいいかもしれません。
見逃しちゃダメ!そのストレスサインは「痛み」の表現かも
肉体的な苦痛もストレスの一種で、ストレスサインは時に「痛い」「苦しい」の表現になります。このことは、フェレットの飼い主さんにはぜひ意識して欲しいんです。
というのも、多くのフェレットは痛みを感じているとき、鳴き声を上げ続けて訴えてくることはありません。野生では単独行動をするフェレットは、苦痛を感じていることを他の個体に知らせようとしないのです。ケガを負った瞬間、痛みのあまり悲鳴をあげることはあっても、それ以降は黙って耐えようとします。痛みに対してのわかりやすい反応が乏しいからこそ、飼い主さんが気づいてあげてなければなりません。
病気やケガが疑われるなら、自己判断での様子見はせず、すぐ受診しましょう。
フェレットにストレスサインが見られたらどうする?対応方法
フェレットにストレスサインが出てしまったら、まずは飼育環境の広さ・温度・明るさ・静かさ、ケージの設置場所が適当か確認しましょう。
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「環境の変化」は代表的なストレス源に
続いてストレス源になりやすいのは環境の変化で、具体的には以下のようなケースです。
・フードの変更
・ペットショップからのお迎え直後
・ケージ内のレイアウト変更
・多頭飼育(新しい子のお迎え、仲良しの子との死別、相性の悪い子との同居)
・お出かけ
・遊び時間の不足
・病院の受診
・入浴
活発で陽気なフェレットくんだからストレスにも強そう、と思えるかもしれませんが、ストレス耐性には個体差もあります。
「ストレスは万病の元」という言葉通り、フェレットもストレスを受けると感染症にかかりやすくなると言われています。飼育環境を見直しストレス軽減を目指しましょう。
飼い主さんとフェレットくんの双方がストレスフリーに暮らすために大切なこと
ストレスサインは1匹ずつ違って当たり前。ご紹介した症状・行動をヒントに、フェレットくんをよく観察してあげてほしいと思います。
ストレスについて考え始めると「もしかしてあれがストレスに?」「これもよくなかったかも」と不安が膨らんでしまいますね。
フェレットが快適に過ごせるよう気を配るのは飼い主さんの務めですが、1人でがんばるのにも限界があります。獣医師をはじめ、ほかの飼い主さんやフェレット専門店など、多くの人の力を借りることで、きっと解決策が見えてきます。
一番大切なのは、愛情深くフェレットを見守ること。「普段と様子が違う」と真っ先に気づけるのは飼い主さんなので、気負わず、楽しくフェレットくんと過ごしてくださいね。
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