フェレットくんと暮らす飼い主のみなさん、こんにちは。
フェレット情報局は、フェレットの生態・お世話の仕方について、専門店『フェレットリンク』のスタッフが発信するメディアです。

今回のテーマはフェレットの肥満。食欲の秋も終わり「うちの子、ちょっと大きくなった?」という飼い主さんもいるかもしれません。
フェレットはどこからが肥満で、ダイエットはどうすれば良いのでしょうか。
トンネルをのぞきこむフェレット

意外に少ないの? 食べ放題でも太るはずのないフェレットの「肥満」とは

フェレットのフードは常に食べ放題スタイルが理想。フェレットは食べる量を自分で調整でき、満腹になればそれ以上は食べないので、基本的に肥満にはなりません。

しかし、「食べ放題でも太らない」のはあくまで、消費カロリーが摂取カロリーを上回らないのが前提です。フェレット自身によるフードの食べ過ぎが起こりにくいとはいえ、飼い主さんからもらうおやつは別。フェレットの肥満で多いのは、おやつの与えすぎです。

おやつの食べ過ぎと運動不足で、フェレットも太ります

食性から本来与えてはいけないフルーツのおやつなども市販されていますが、そうしたレーズンなどの糖分の多いおやつを与えすぎれば、フェレットは肥満になります。また、肉食のフェレットに脂肪は必須の栄養とはいえ、バイトやサーモンオイルといった脂質の多いものも食べすぎればエネルギー過多に。
フェレットのおやつのバイト
加えて、ケージから出て遊ぶ時間が短いと、運動不足になり肥満のリスクがアップします。

また、フェレットは避妊・去勢手術を受けることで太りやすくなるとも言われていますが、ペットショップでお迎えできる子たちは基本的に避妊・去勢手術を済ませています。フェレットは決して「太らない」わけではないのです。

「太ったと思ったら病気だった」「病気のせいで肥満だった」というケースも

もう一つ知っておきたいのは、病気が関連して体重が増える・肥満に見えるケースです。
脾臓にできた腫瘍でお腹がポッコリしていた、甲状腺の機能低下で代謝が落ちて太っていた、といった場合があります。「最近太ってきたかも」と思ったら、念のため、肥満の裏に隠れた病気がないことを確認しておきましょう。

なお、フェレットが冬にぽっちゃりするのは正常な変化で、肥満や病気とは異なります。夏と冬を比べると、通年の平均体重の30%程度も増減するという報告もあり、変化の大きさがわかります。冬季に増えた体重は春になると自然に元に戻るので、心配いりません。

フェレットの肥満、どんな問題がある?

ぽっちゃりフェレットも可愛く見えるのですが、肥満は健康と生活上の問題に直結します。

皮下脂肪が分厚くなることで身体のすみずみまで舐め取って毛づくろいするのが難しくなります。特に、お腹や背中の毛づくろいが行き届かなくなり、清潔を保てないため、毛並みが悪くなったり皮膚のトラブルが起こったりするんです。

他にも、過度な体重がかかり続けることで手足の関節や脊椎に痛みが出る、心臓血管や呼吸器の負担も増すなど、影響は全身におよびます。

さらに、太ると疲れやすく運動不足になるため、運動能力が低下し、ますます動かなくなる悪循環に。
ぐっすり眠るフェレット
それまで遊べていたトンネルに入れなくなったり、かゆいところに口が届かなくなったりする姿は飼い主さんも見ていて切ないものがありますよね。肥満は解消してあげた方がフェレットのためです。

フェレットの標準体重は? どこからが「太りすぎ」か

マーシャルフェレットの標準体重は、オスが1〜1.2kg、メスが 0.6〜0.8kgと言われています。
これは目安であり、体長には個体差がありますし、筋肉質でガッチリした子もいますから、この数値を上回ったらただちに肥満というわけではありません。フェレットの「太りすぎ」はどうやって判断したら良いのでしょうか。

肥満の判定は総合的に考えて

人間では肥満度の判定は体重とBMI、腹囲、体脂肪率などをあわせて考えますよね。ペットの体型の評価ではボディコンディションスコア(BCS)という基準を使い、見た目と触った感覚で「痩せ過ぎ」から「太り過ぎ」まで評価します。
こちらをうかがうフェレット
BCSはフェレット専用に作られているわけではないのであくまで参考程度ですし、また、触り心地の判定は一般の飼い主さんではわかりにくいと思います。ダイエットの必要性を含め、最終判断はフェレットに詳しい獣医さんにお任せした方が確実です。

参考リンク:フェレットの診療可能な動物病院

フェレットは本来スリムな生き物。お腹がぽっこりで歩くと地面に引きずる、顔まわりにお肉が余っていて二重顎、など見た目にもわかるほど脂肪がついている場合は、肥満の可能性が高いと考えてください。

定期的にチェックしたいフェレットの体重 測定方法は?

 
家庭でのフェレットの体重測定は、1g単位で計量できるキッチンスケールが便利です。カゴやバスケットにフェレットをいれ、スケールにのせます。じっとしていてもらうには、おやつをあげるか、熟睡しているタイミングを狙いましょう。
フェレットの体重測定に使える電子キッチンスケール
体重の変化を記録すると健康チェックに役立ちます。肥満の心配がなくとも、測定は定期的に行いましょう。

【フェレットのダイエット】どうやったら体重を減らせる?

体重オーバーのせいで生活に支障をきたしており病気でもない、となったらダイエットが必要です。痩せる方法は人間もフェレットも同じで、摂取エネルギーを減らし、消費エネルギーを増やすしかありません。

まずは食餌内容を見直そう

フェレットに与えている食餌をすべてリストアップして、果物・サーモンオイル・ピーナッツバター・バイトなど糖分・脂肪分の多いおやつの量に気をつけるとともに、食性に合わないものは与えないようにしましょう。ダックスープの与えすぎもエネルギー過多につながります。
また、おやつ以外にも、低品質のキャットフードを主食として与えていると脂肪過多になることがあるので注意が必要です。

関連コラム:【フードと栄養】フェレットのエサは何がいい?選び方のポイントを解説

食事の変更は2〜3週間かけて徐々に行います。ひどく太っている・過食する習慣がついている子では、食事を根本的に変更したり、フードを与える時間を制限したりする必要があるかもしれません。独断では危険ですので、必ずフェレットに詳しい獣医師に相談してください。

ぽっちゃりで腰の重い子に実践したい!運動量アップの作戦

フェレットが動き回れる広いスペースを設けます。おもちゃのトンネルを置いたり、隠れ場所になるボックスを置いたりすると、活発な探索行動を引き出せます。坂道や小さな段差を作るのもおすすめです。フードをあちこちに少しずつばら撒くように置くのも良いですね。

理想的には1日1~2時間はケージから出してあげてください。飼い主さんが一緒に遊んだり、多頭飼養したりすると運動不足解消になります。ボールにじゃれるフェレット

健康的な体型が長生きフェレットの秘訣

病気をせず長生きするには、肥満も痩せすぎもいけません。フェレットくんは自分で食餌量を調整できるお利口さんですから、私たち人間が気をつけていれば大部分の肥満は防げるはずです。
日々のコミュニケーションやストレス解消に役立つおやつですが、量と与え方に気をつけ、健康体型のキープを心がけましょう。

関連コラム:【フェレットのおやつ】選び方・与え方・おすすめは?


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橋爪宏幸

フェレット情報局編集長。 フェレット専門店フェレット・リンクのオーナー。 ExoticpetSaver FirstResponder/ExoticpetSaver Emergency Rescue Technician。 まだまだ分からないことが多いフェレットの世界。フェレットとの暮らしに少しでもプラスになるように、世界中からフェレットの情報を集めて発信していきます。