フェレットくんと暮らす飼い主のみなさん、こんにちは。
フェレット情報局は、フェレットの生態・お世話の仕方について、専門店『フェレットリンク』のスタッフが発信するメディアです。
今回は、フェレットの感情・喜怒哀楽の表現についてご紹介します。
陽気に振る舞うフェレットくんですから「喜」と「楽」の反応はなんとなくわかることも多いと思います。では「怒」や「哀」はどうでしょう? また、驚きや不安、不快なときは?
改めて「うちの子は今、どう思ってるんだろう」を考えてみましょう。
※フェレットの鳴き声・音声でのコミュニケーションは以下の記事で解説しています。
フェレットの鳴き声|意味と対処法「不機嫌」「ベビ鳴き」「グゥー」
目次
フェレットの【喜・楽】ポジティブな気持ちのときの行動
(1)「嬉しい・楽しい」は全身で大胆に
嬉しさや楽しさは全身で表現します。飛び跳ねたり、頭を持ち上げ「イタチの戦いのダンス」をしたり、おどけた行動に出ることも。飼い主さんや他のフェレットと積極的に遊ぼうとします。
(2)「ワクワクが止まらない!」は、声を出してソワソワと
フェレットは好奇心が刺激されると興奮します。そんなときは、敏感な嗅覚で調べようと、鼻を地面につけて走り、匂いを嗅ぎまわります。「クククク」「コッココッコ」とかすかに鳴くこともあり、興奮するほど声は大きく速くなります。人間の笑い声や鼻歌のようなものかもしれませんね。
尻尾を激しく振る子もいるのですが、「気になりすぎてじっとしてなんかいられない!」といったところでしょう。
(3)「遊んでよ」のおねだりは、わかりやすくアピール
よく見られるのは、飼い主さんに駆け寄ってきては後ずさりする行動で「ほら、追いかけて捕まえてみて!」と誘っているかのようです。飼い主さんが応じてくれないと、注意をひこうと靴やズボン、足首を噛んで引っ張ることも。「ねぇねぇ遊んでよ!今すぐがいいの、おねがい」と必死に訴えているんです。
おねだりはかわいいけれど、噛まれるのは困りますよね。
遊んでアピールが始まったら早めに対応してあげるか、噛んだら遊ばないことで、「噛んでも効果がないんだな」とフェレットに覚えさせましょう。
すぐに遊んであげられないなら、いったんケージで待たせ、用が済んだらたっぷり構ってあげてくださいね。
関連コラム:フェレットの噛み癖は直せる!正しいしつけのやり方
「イタチの戦いの踊り」って何? ウィーゼルウォーダンス
頭を振りながらピョンピョン飛び跳ねるフェレットの動きは「ウィーゼルウォーダンス」や「ウィールズウォーダンス」と呼ばれ、直訳すると「イタチの戦いの踊り」です。「喜びのダンス」「ハッピーダンス」と表現されることもあり、嬉しい・楽しいとき、飼い主さんを遊びに誘うときに見られます。
ダンスの最中、フェレットは背中を丸めてジャンプし、左右に体を揺らし、口を大きく開けて「シャー」っと鳴くこともあります。「どこか苦しいの?」と心配になるかもしれませんが、大丈夫。ダイナミックさは興奮や幸せの表現ですから「とっても楽しいんだね」と受け止めてあげましょう。
フェレットの【怒・哀】ネガティブな気持ちで見せる行動
(1)「ちょっと怖い」「なんだか不安」はビクビクしながらチラ見
恐怖や不安を感じ動揺しているフェレットは、体を小さくして、怖がっている対象にチラチラ視線を送ります。この段階では逃げたり、物陰に隠れたりはしません。戦うべきか逃げるべきかを判断しようとしているのです。時には「シャー」と鳴き声もあげます。
(2)「本当に怖いよ!」は逃げる・隠れるで表現
大きな物音や素早い動きに驚くなど、恐怖や不安がピークに達したら、フェレットは身を守ろうと物陰へ逃げたり隠れたりします。「キュー」っと短く高い悲鳴を上げる、突然うんちをしてしまうこともあるようです。
(3)不機嫌・怒り・イライラは「八つ当たり」?
怒っているフェレットは、他のフェレットに対してすねたように振る舞う、シューという鳴き声を出す、噛む、追いかけるといった攻撃性を見せることがあります。いわば八つ当たりにも見えますが、よくなついている飼い主さんに対してこのような行動をすることはあまりないようです。
(4)悲しみの表現もちゃんとある
仲良しの仲間を亡くした、飼い主さんと別離したなどで、フェレットもうつ状態になることがあるんです。仲間を失ったフェレットは、ケージ内を探し回り、頭を下げて、ため息をつくような行動を見せることがあります。
じっとうずくまるのは体調不良のサインかも
ちなみに、目を細め、体を小さくしてじっとしているのは、悲しみではなく病気や痛みのサインのこともあります。フードを食べない・嘔吐などがあればすぐ受診してください。
関連コラム:【フェレットのストレスサイン】身体に出る症状・行動
膨らんだ尻尾はテンションMAXの証!「最高」「最悪」「びっくり」を表現
フェレットが尻尾の毛を逆立てて膨らました姿を見たことはありますか? 試験管を洗うブラシそっくりなので、英語では「ボトルブラシの尻尾」とも表現されます。
怒りや恐怖で極度に興奮した際に見られると言われていますが、実はネガティブな気持ちに限らず「すっごく嬉しい!」や「びっくりしたー!!」など、感情が高ぶった際にも見られます。
尻尾を逆立てている理由が「怒り」であれば、背中を丸め、シャーっと鳴くこともあります。逆に、大きな喜びを感じているなら、膨らませた尻尾をブンブン振ることも。フェレットの尻尾はハイテンションのバロメーターです。
こんな行動・あんな仕草の意味は?
喜怒哀楽以外にも、フェレットの行動からはさまざまな感情が読み取れます。
空っぽのお皿で遊ぶのは「お腹が空いた」アピール
空っぽになったエサ皿で遊ぶ・食器を押し倒したりホリホリしたりするのは、空腹アピールです。中には、お皿と飼い主さんを交互に見比べ「ご飯ちょうだい」を上手におねだりしてくる子もいます。
なお、フェレットのエサは食べ放題スタイルが理想。ドライフードは切らさないようにしてください。
関連コラム:【フェレットのエサの与え方】食べ放題でいいの?フードの変更方法は?
ちなみに、中身が入っている皿をひっくり返しているのは「退屈だよ」のメッセージです。
何度も顔を見てくるのは「あれ欲しいな」「ちょっと取ってよ」
フェレットは飼い主さんの目を繰り返しじっと覗き込むことで「ちょうだい」を表現することもあります。フェレットが何を求めているか気づくには、飼い主さんがよく観察する必要があります。
例えば、フェレットがおやつをしまっている棚の近くにいるなら、おやつが欲しいのでしょう。ケージの扉のそばで立ち上がっている場合は、中に入りたいのか外に出たいのか、どちらかだと思います。飼い主さんの洞察力が求められます。
同じ仕草でも、解釈は何通りもあって良い
忘れないでほしいのが、感情表現の方法には個体差があること。今回ご紹介したのはあくまで解釈の一例です。「すべての子に当てはまるわけではない」と知っておいてください。
例えば、次のようなエピソードもあります。
動物病院を受診したフェレットはたいてい、ケージや飼い主さんの服の中に隠れ、頭だけをぴょこんと出して様子をうかがいます。これは緊張や不安を感じた際の一般的な行動です。
しかし、あるフェレットは隠れないかわりに、前足を飼い主さんの口元に持っていくのだそうです。飼い主さんは「この子は不安なとき、こうすると落ち着くみたい」と受け入れていました。自分だけの「怖い」の表現を飼い主さんにわかってもらえて、幸せなフェレットくんだと思います。
「うちの子」の気持ちを一番わかってあげられるのは飼い主さん
フェレットは豊かな感情を持っています。飼い主さんがそう意識し、行動を観察することで、人間顔負けのコミュニケーションをしている子たちもいるんです。
急用が入り帰宅が遅れたら「朝は遊んでくれるって言ったのに、話が違うよね」と不機嫌そうに飼い主さんをじーっと見つめてくる子がいるそうです。その表情は、怒っているようにしか見えないのだとか。
はたまた、「コラッ」と叱られたらトコトコと離れた場所まで歩いて行って、ベチャっと寝そべる子もいるそうで、人間の子どもが「そんなに怒らなくてもいいじゃん」とすねるのにソックリですね。
フェレットの気持ちを一番理解し、寄り添ってあげられるのは共に暮らす飼い主さんです。「今、何を考えているのかな?」と想像しながら一緒に過ごしてみると、新しい発見があるかもしれません。
<主要参考文献>
Cathy Johnson-Delaney(2016). Ferret Medicine and Surgery (English Edition)
田向 健一『フェレット飼育バイブル 長く元気に暮らす 50のポイント コツがわかる本』メイツ出版、2021年
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