フェレットくんと暮らす飼い主のみなさん、こんにちは。
日本ではまだまだ「珍しいペット」のフェレット、生体や飼育方法についての情報も限られていますよね。疑問やお悩みをどこで解決すればいいの?とお困りの飼い主さんもいるのではないでしょうか。

フェレット情報局は、フェレットと暮らす方のためのメディアです。フェレットの生態・お世話の仕方について、日々フェレットに接している専門店『フェレットリンク』のスタッフが発信します。

国内では飼育頭数が少ないフェレットですが、海外に目を向ければメジャーなペットとして愛されています。フェレットの生態にはまだ謎も多く、諸説あります。フェレット情報局は、アメリカ・ヨーロッパのWebサイトや文献も参照しながら、現時点で正しいと思われる情報を中心に、ちょっと珍しいお話もお届けできたらと思います。

今回のテーマは、フェレットのエサ(フード)の「与え方」。
食べる量・タイミング・回数などは飼い主さん任せになりますから、バランスの取れた食餌を用意すると同時に「どのように提供するか」も大切です。
フェレットの栄養についての基礎知識と与え方のポイントをお伝えします。フェレットのドライフード

関連コラム
【フードと栄養】フェレットのエサは何がいい?選び方のポイントを解説

フェレットの食事スタイルは「少量頻回」

まず、フェレットは本来どのような「食べ方」をするのか知っておきましょう。

最大の特徴は、少量ずつしょっちゅう食事を摂ることです。1日に10回程度、食べることも珍しくありません。フェレットのご先祖様の「ヨーロッパケナガイタチ」も、大きな獲物を仕留めたら巣穴に持ち帰って保存し、何回にもわけて食べるのだそうです。

フェレットはどうしてこんな食事スタイルなのでしょうか?

食べたものがすぐに体から出ていくので、1日に何度も食べなくてはいけない

大人のフェレットが肉類を中心とするエサを食べた場合、腸管を通過する時間はわずか2〜3時間で、子どもにいたってはなんと約1時間なのだとか。フェレットが食べたものは3〜4時間で排泄されますが、ネコ(12〜24時間)や人間(24〜72時間)と比べても、はるかに早いことがわかります。

一般に、肉食動物は草食動物よりも腸が短い傾向がありますが、肉食であるフェレットの腸も草食・雑食の動物に比べるとかなり短くなっています。ウシやウマの腸は体長の10倍以上の長さがありますが、フェレットでは体長の約5倍で、大腸に至っては大人でもわずか10cm程度しかありません。

ただし、排泄されるまでの時間の早さは、腸の短さだけでは説明がつきません。実は、フェレットを含むイタチ科の動物は、代謝のスピード自体が早いと言われています。穴から顔を出すフェレット
食べたものがあっという間に出ていくということは、すぐにお腹が空くということ。だから「頻回」な食事が必要なのです。

フードの与え方ポイント①食べたいときにいつでも食べられる環境を

フードはいつでも好きなだけ食べられるようにしてあげてください。

おすすめは、朝・夕1日に2回残量をチェックし、補充することです。食べ残した古いフードは劣化するのでその都度、処分してください。

また、新鮮な飲み水もたっぷりと用意しましょう。ドライフードには水分がほとんど含まれないので、フードの量の約3倍の水が必要です。

フェレットは「食べ過ぎで肥満」にならないの?

ところで、タンパク質や脂肪たっぷりのフードを食べ放題にしていて、フェレットは肥満にならないのでしょうか?
丸まるフェレット
フードの成分が適切であれば「フードの食べ過ぎ」が原因で太ることはまずないと考えられています。フェレットが1日に何度も食べるのは必要なカロリーを摂取するため。人間にありがちな「暇だからダラダラ食べる」はありません。ほとんどのフェレットは身体が欲しがるだけ食べても病的な肥満になる心配はないんです。

ちなみに、冬場にぽっちゃりするフェレットくんもいますが、これは冬支度の一種で、正常な変化と考えられています。
秋口には食べる量を30%以上増やし、皮下脂肪を蓄積して体重を増やす一方、春になると、今度は食餌量を減らして余分な脂肪を代謝し、スリムな体型を取り戻します。ごはんの量を自分で調節するなんて、とってもお利口さんですよね。

なお、季節で日照時間が変化しない環境にいると、このような体型変化が起こらないこともあります。また、基本的に「食べ過ぎで太る心配はない」とはいえ、個体差がありますので、定期的な体重測定や体型チェックは必要です。おやつやバイトなどの栄養剤を与えすぎると肥満になりやすいのでご注意ください。

フードの与え方ポイント②複数の種類をミックスして与えよう

もう1つ実践したいのは、複数の製品をミックスして与えること。
これは、メーカーによるフードの製造中止や、ライフステージ・健康状態に合わせたフードの変更が必要になった際のためです。

フェレットは慣れ親しんだフードのみを好んで食べたがるため、「フードを変更したら食べてくれない」というトラブルがよく起こります。中には、新しい餌だけを皿から全部掘り出したり、わざとトイレに運んだりして「絶対食べないからね!」とアピールする強者も。

「そのうちお腹が空いたら食べるでしょ」と言いたくなるかもしれませんが、少量頻回な食事スタイルのフェレットですから、数時間でも絶食状態になるのは好ましくありません。フードのスムーズな切り替えのため、普段から、さまざまな味・食感・におい・タンパク源に慣れさせておくことは大切です。

フェレットは子ども時代から匂いで食べ物を覚え、生後数ヶ月も経てば食べ物の好みがはっきりしてきます。幼いフェレットをお迎えする場合はぜひ、幼少期から実践してあげてください。フェレットのドライフード

「これしか食べない」頑固なフェレットくん、フード変更のヒント

フェレットくんが他のフードを受け付けなくてすでに困っている、という飼い主さんもいるでしょう。そんな時に実践してみたいヒントは以下です。

フードの急な全量変更は避ける

7日程度かけて、古いフードから新しいフードへ徐々に移行しましょう。突然ガラリと食餌内容が変わるとフェレットくんの抵抗感が強まることがあります。また、一気に食事を変えると腸内のバクテリアに影響を与え、消化を助ける能力も低下してしまいます。

慣れ親しんだフードと新しいフードをミックスする

密閉袋に古いフードと新しいフードを入れて混ぜ、冷蔵庫で1日寝かせると、ニオイがなじみます。また、 古いフードと新しいフードをあわせたものに水を加えて混ぜあわせることで、 味をなじませられます。

なお、サプリメントやおやつとして、サーモンオイルを与えている場合、 古いフードと新しいフードを混ぜたものにサーモンオイルを少量加えるのもよいでしょう。

新しいフードを手渡しで与えてみる

大好きな飼い主さんから直接手渡しで食べさせてもらうことが、新しいフードの味を好きになるきっかけになるかもしれません。また、日頃からおやつを手渡しでもらっている子の場合、「おやつ」として受け入れてくれることもあります。

いろいろなフードを受け付けられることは健康維持のための大きなメリット

フェレットの場合、ライフステージの変化によるシニア用のフードなどへの切り替えは必要ありません。しかし、高齢になると歯を失って咀嚼が困難になったり、筋肉の衰えや衰弱などにより食欲不振が生じる場合があります。長期の食欲不振は肝脂質症などにつながる可能性もありますので、食餌内容を見直したり、柔らかいフードに変更したいなどのケースも起こりえます。

ここで、新しいフードをフェレットくんが受け付けてくれないと大変。苦労して探し出したフードを一口も食べてくれず飼い主さんの心が折れてしまい、結局、元のフードを与え続けざるをえないケースもあるようです。
こちらを見つめるフェレット
いろいろなフードが食べられるのは、フェレットくんの健康を守るためにとても大切だと言えます。いざという時にお互いストレスなくベストな選択肢が取れるよう、日頃からの備えが肝心ですね。

「食」から始めるフェレットくんの幸せな毎日

フェレットの食事スタイルは人間と大きく異なりますが、体の仕組みを知れば、最適な食餌の与え方が見えてきます。そして、食の習慣は日々作られるもの。食べられるものの幅を広げておくことがフェレットくんの健康寿命を伸ばすことにつながります。

私たち人間も、栄養バランスのとれた食事がリズム良くできているときは体調がよく、心が満たされるものです。フードの与え方にも気を配ることで、フェレットの幸せ度をアップしてあげられたらいいですね。

<参考文献>
Cathy Johnson-Delaney(2016). Ferret Medicine and Surgery (English Edition)
田向 健一『フェレット飼育バイブル 長く元気に暮らす 50のポイント コツがわかる本』メイツ出版、2021年


The following two tabs change content below.

橋爪宏幸

フェレット情報局編集長。 フェレット専門店フェレット・リンクのオーナー。 埼玉動物海洋専門学校 特別講師。 ExoticpetSaver FirstResponder/ExoticpetSaver Emergency Rescue Technician。 まだまだ分からないことが多いフェレットの世界。フェレットとの暮らしに少しでもプラスになるように、世界中からフェレットの情報を集めて発信していきます。