フェレットくんと暮らす飼い主のみなさん、こんにちは。
フェレット情報局は、フェレットの生態・お世話の仕方について、専門店『フェレットリンク』のスタッフが発信するメディアです。
今回のテーマは「フェレットの抱っこ」。
フェレットくんをぎゅっと抱きしめるのは、飼い主さんからの最大級の愛情表現かもしれません。すばしこく動き回るうえに長い身体のフェレットですから、慣れないうちは抱っこにも戸惑いませんか?
フェレットくんをお迎えしたばかりの方に向け、抱っこの方法をお伝えし、抱っこにまつわる疑問にもお答えします。
目次
フェレットは「抱っこ」が好き?
フェレットを抱っこしたことのある方ならご存知の通り、すぐに「降ろして」と訴えてくる、隙あらば腕の中から抜け出すなど、じっと抱っこさせてくれない子は多いですよね。
フェレットは抱っこが好きなのでしょうか?
1匹ずつ性格が異なりますし、同じ子でも、お迎えして1ヶ月の時と、2年後では飼い主さんとの関係性も違います。一概には言えませんが、お店で日々たくさんの子たちに接していると、フェレットは、慣れるまではじっと抱っこさせてくれる子は少ないように思います。赤ちゃんより大人のフェレットの方が抱っこはさせてくれるようです。
抱っこ好きは子どもの頃からの習慣づくり
幼い頃に抱っこされていない子は、抱っこを嫌う傾向にあります。ベビーをお迎えするなら抱っこ好きになってもらうチャンスと言えそうですね。
ただし、フェレットの子ども時代は大人以上にエネルギッシュ。活発に動き回るぶん、抱っこの難易度も高いんです。無理せず、可能な範囲で抱っこの機会を設けましょう。
大人のフェレットをお迎えした場合でも慣れてくれば抱っこさせてくれるようになります。大人でも子供でも時間をかけたスキンシップが大切ということですね。
抱っこは必須ではないけれど「人に慣れておくこと」は大切
フェレットにとって抱っこされることは、生きるために必須ではありません。爪切りや歯磨きといった日常的なケアは、後でご説明する「保定」ができれば事足ります。
しかし、抱っこさせてくれる程度に「人に慣れておく」ことは大切です。その方がお風呂やブラッシングなどのケア、そして病院受診もスムーズにできるからです。
また、精神的な側面でも、スキンシップとしての抱っこは大切という意見もあります。
抱っこ・なでなで スキンシップはフェレットの社会性と絆づくりに有効
海外のウェブサイトによると、身体と身体の触れ合いは、フェレットの社会性や、他の個体との絆づくりに大切という趣旨の研究発表があるそうです。
実際に、海外の飼い主さんの間では「フェレットに定期的に触れ、匂いや声などに普段から慣らしておかないと飼い主さんに噛みつきやすくなる」という考え方もあり「できるだけ頻繁に抱っこすべき」と書いてあるサイトもあります。
肌と肌の触れ合いは、生き物の種類を超えて、信頼関係の形成に大切なのかもしれません。
フェレットと飼い主さんのスキンシップは、「撫でてあげること」と「抱っこ」ですから、普段から自然にやってあげられるといいですね。
ケアの必須スキル、フェレットの「保定」って何? 抱っことの違い
ちなみに、抱っことは少し違いますが、知っておきたい重要スキルが「保定」で、首の後ろをぎゅっとつまんで持ち上げます。
保定されると大人しくなる子が多いため、爪切りや歯磨き、耳掃除など、じっとしてもらいたいケアの際に役立ちます。早い段階でマスターしておきましょう。
関連コラム:ケアの時に役立つテクニック「保定」を知ろう/【フェレットのケア】歯磨き・爪切り・耳掃除
フェレットの抱っこの方法 おすすめのやり方
「これが正解」というものはありませんが、安全に抱っこできる方法をご紹介します。
(1)フェレットの胸の下に掌をあて、両腕の下に親指と人差し指を差し込んで優しく体を掴みます
(2)もう一方の手でフェレットのお尻をすくい上げるようなイメージで、後ろ足を持ち上げて支えます
(3)フェレットを体に近づけ胸の近くで抱えます。手の上でS字型に座っているかのような体勢にします
フェレットの抱っこは、ここに気をつけて
注意点は、しっぽや足をつかんで持ち上げないこと、そして、フェレットの背中を無理に伸ばさないことです。活発なイメージのフェレットですが、抱っこは優しくしてあげてくださいね。
すり抜けたがる子も多いので、落下防止のためにフェレットの胸を常に支え続け、片手での抱っこは避けた方が安全です。低い位置で抱っこすると、万が一の転落にも備えられます。
また、抱っこの前に石鹸で手を洗うのもおすすめです。手に、フェレットにとって気になる匂い(獲物となる小動物の匂いなど)がついていると、噛みつく可能性があるからです。
急に抱き上げず、一言かけてからにしてあげよう
フェレットに限らず小動物全般に言えることですが、四肢が急に地面を離れてフワッと空中に浮かぶ感覚は、猛禽類に捕食されるシーンを連想させるので、本能的に怖がります。背後から突然、つかむように持ち上げることは避け、声をかけてからにしてあげてください。
なお、お迎えしたばかりは環境の変化で神経質になってストレスもかかっています。まずは環境に慣れさせることから始めてください。焦らずゆっくりがポイントです。
フェレットが抱っこさせてくれない・嫌がるときは
抱き上げようとしたら嫌がる、なかなか落ち着いて抱っこさせてくれない、そんな時はどうすればいいのでしょうか。
抱っこしやすいタイミングを狙おう
全力で遊んで「もう満足した〜」という時や眠い時は、比較的、落ち着いて抱っこさせてくれる子が多いんです。パワーに満ち溢れている寝起きではなく、十分に遊んでエネルギー発散した頃合いを見計らってチャレンジしてみましょう。
抱っこされたまま腕の中で眠ってしまうのもまた可愛いですね。
抱っこしても落ち着かない・もがくフェレットへの対処法
ガサガサ動こうとするのにはいろいろな理由が考えられます。
不安定な体勢が落ち着かないのだとしたら、フェレットの身体をしっかりと抱え、飼い主さんに密着させるといいかもしれません。また、タオルや毛布を軽く掛けることで安心する子もいるようです。
逆に、身体を前後に軽く揺らされることで大人しくなる子もいます。これは、母親に咥えて運ばれる赤ちゃんの気分を思い出してリラックスするからなのだとか。
フェレットの様子にあわせて、いろいろトライしてみてください。
急に拒否するようになったら体調不良のサインかも?
「今まで抱っこさせてくれていたのに急に嫌がる」「飼い主さんに対して突然、無関心または攻撃的になった」という場合は、病気や怪我が隠れている可能性もあります。様子がおかしいと感じたら、体調を確認してあげてください。
関連コラム:見逃しちゃダメ!そのストレスサインは「痛み」の表現かも/【フェレットのストレスサイン】身体に出る症状・行動
なお、尻尾の毛を逆立てた「ボトルブラシ」のときは、抱っこを強要してはいけません。自らを守るために飼い主さんを噛む可能性もあるので、手を出さない方が無難です。
「じっとしていたくないだけ」というのも、フェレットらしさ
「数秒しか抱っこさせてもらえない」とお悩みの飼い主さんもいるかもしれません。知っておいてほしいのは、フェレットはごく短い時間でも、同じ姿勢でじっとするのが苦手ということ。
腕の中でジタバタしてすぐに降りたがるのは、抱っこが嫌いというより「今、じっとしていたくないの!」という気持ちの可能性大です。フェレットにとって自然なことと受け止めていただければと思います。
活発に動き回るのは、健康かつ幸せであることの証。フェレットらしさの一つとして、受け入れる気持ちが大切です。
抱っこが嫌い=なついていない? 飼い主さんのことが嫌いなの?
抱っこを拒否し、飼い主さんのことは気にも留めない様子で部屋中を走り回っている姿を見ても、「なついてないみたい」「嫌われてるのかも」と気にする必要はありません。
抱っこはイヤでも、飼い主さんの膝の上に座ったり撫でられたりするのは好きで、飼い主さんの膝や腕の中で眠りたがる子もいます。
撫でさせてくれるなら、心を許している証拠。撫でている手に寄りかかる、舐めてくる、鼻を押し付けてくるのも「大好きだよ」のサインです。
フェレットも年齢を重ねるほどに穏やかになり、徐々に長い時間、抱っこさせてくれるようになる子が多いんです。今は数秒が限界でも、時間をかけて慣らしていくつもりで、気長に付き合いましょう。
フェレットくんと抱っこが楽しめるまで仲良くなれたら幸せ
抱っこは、日頃から一緒に遊んで絆を深めるのが近道ですから、焦らずゆっくり練習していくことがポイントです。
ただし、フェレットにとって抱っこは必須ではありませんから、抱っこできることをゴールと考える必要はありませんし、無理強いもいけません。形にこだわらず、飼い主さんとの絆・関係づくりができていればOKと柔軟に考えましょう。
なお、家から出る、庭から出るなどの移動の際は脱走のリスクを考慮し、抱っこではなくキャリーを使うことをおすすめします。
関連コラム:【フェレットの外出・病院受診】準備と用意しておきたいグッズ

橋爪宏幸

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