フェレットくんと暮らす飼い主のみなさん、こんにちは。
フェレット情報局は、フェレットの生態・お世話の仕方について、専門店『フェレットリンク』のスタッフが発信するメディアです。

今回は、フェレットくんのハーネス・リードについてご紹介します。
散歩が基本的に不要ですから、お迎え時から揃えておくべき必須アイテムとまでは言えませんが、ハーネスやリードが活躍する場面もあるんです。それに、フェレットと一緒にお出かけしてみたい飼い主さんもいるでしょう。
ハーネス選びや、フェレットのお散歩事情を詳しく見ていきましょう。
ハーネスとリードをつけたフェレットー【フェレットのハーネス】散歩に行かなくても必要?「抜けない」は必須条件

フェレットにハーネス・リードは必要?持っておいた方がいい理由

ハーネスは胴体に装着する器具で、リードはハーネスにつなげられる紐のこと。犬の散歩を想像するとわかりやすいと思います。
犬の散歩は首輪にリードが定番で、ハーネスをつけるのは盲導犬など一部でしたが、近年は首輪の代わりにハーネスを使用する犬を見かける機会も増えてきました。ハーネスとリードをつけた犬ー【フェレットのハーネス】散歩に行かなくても必要?「抜けない」は必須条件
フェレットの場合、ハーネスの出番はお散歩だけではありません。

散歩に連れていかなくとも、フェレットが外に出る機会はある

病院を受診する、ペットホテルに預ける、災害時の避難など、フェレットと外出せざるをえない場面は散歩以外にもやってきます。

屋外への移動はキャリーを使うのが原則ですが、キャリーは小型ですから、長時間入れっぱなしは望ましくありません。外出先で短時間でもキャリーから出してあげられるよう、脱走予防アイテムとして、ハーネスとリードがあると役立つんです。

また、ソフトタイプのキャリーは開けた際に飛び出す危険もあるので、あらかじめハーネスを着用させて、ソフトキャリーの中についている留め具にハーネスを固定しておくと安心です。

いざ必要な場面でいきなり「これをつけて」となっても嫌がる子が多いので、普段から慣らしておくのが理想です。飼い主さんとフェレットが安全に過ごすには、どんなハーネスとリードを用意したらいいのでしょうか。

【フェレットのハーネスの選び方】おすすめは?「抜けないこと」は必須条件

首輪+リードはフェレットにNG

細長い体のフェレットに首輪をつけても、あっという間に抜けてしまうのは想像できると思います。さらに、フェレットはジャンプなど上下運動も激しいため、首輪をリードで引っ張ると、頚椎骨折や窒息のリスクもあるんです。
フェレットの首輪は「おしゃれグッズ」と割り切って、リードを装着する際は必ず専用のハーネスを使用してください。

フェレットのハーネス選びで大切なのは「抜けないこと」

フェレット用のハーネスは選択肢が多くはないのですが、専門店やネットショップなどで取り扱いがあります。
主流は、コスチュームのように胸まわりから肩、胴体の上の部分をカバーするベスト型と、首輪と胴体部分の輪っかが背中側や胸側の紐でつながったタイプです。
フェレットのハーネスの種類ー【フェレットのハーネス】散歩に行かなくても必要?「抜けない」は必須条件
ベスト型は肌に触れる面積が広いぶん、サポート力があります。また、リードに引っ張られた際にかかる力も分散しやすく、フェレットへの負担が少ない傾向があります。
一方、首輪と胴輪がつながったタイプはシンプルな作りで拘束感が少ないため、こちらの方が好き、という子もいるようです。

装着のしやすさや、素材、デザイン、サイズ展開など、それぞれ特徴がありますが、どれを選ぶにせよ、脱走させないことが必須条件です。頭と胴体のサイズに差があるイヌやネコとは違い、小顔で細長い体型のフェレットはハーネスが抜けやすいんです。固定がゆるいものや、マジックテープなど時間が経つと固定力が弱まるものは避けましょう。

小型犬用は使える? 他の動物用のハーネスをフェレットに代用できるのか

フェレット用のハーネスは、種類が少ないのが飼い主さんのお悩みポイントですよね。でも、小型犬用を代用するのはおすすめできません。フェレットと犬ではかなり体型が違いますから、安全性や快適性に問題がある可能性大です。

体格の小さい子は、フェレット用のハーネスでも簡単に抜けることもあるようですが、だからといってハムスターやトカゲなど小動物用で代用するのも向きません。身体が小さい子でもフェレットはかなり激しく動きますから、小動物用では耐久性が足りないんです。

他の動物用ではなく、フェレット専用に設計されたハーネスを使用してください。

「あった方がいい」ハーネスだけど、安全に使えないなら「使わない」判断も

フィットするものが見つからない場合、フェレット専門店にはいろいろな種類のハーネスが用意されていますので、フェレットを扱うペットショップや動物病院などで相談する方法があります。また、フェレット用のハーネスを自作する飼い主さんもいるようですが、一般の方には難易度が高いうえ、安全性の面でもおすすめはできません。
首輪をつけたフェレットー【フェレットのハーネス】散歩に行かなくても必要?「抜けない」は必須条件
いろいろな手段を検討したうえで難しいと感じれば、いったんハーネスの着用をあきらめるのも間違いではありません。身体に合わないハーネスをつけて連れ出したことで脱走につながるくらいなら、お出かけやお散歩には行かない・キャリーから出さないという判断も、やむをえないと思います。

フェレットのハーネスは「つける練習」と「慣れ」も必要

ハーネスを選んだら、次のステップは装着です。たいていのフェレットは最初、ハーネスを嫌がりますから、サイズ確認や調整もかねて装着練習をしておきましょう。

サイズ確認は必須

窮屈すぎるとフェレットの動きを妨げますが、ゆるいと脱走を許してしまいます。目安はハーネスとフェレットの身体の間に、指一本ぶんの隙間が残るくらいです。
フェレットは季節によって体重が大きく変化するので、ジャストフィットのために、着用前にサイズ調整は必ずするようにしましょう。

最初は短時間から慣らそう

まずは数分間、ハーネスを装着して過ごしてみます。嫌がっても、締め付けが強すぎないのであれば頑張りどころです。おやつで気を紛らわせたり、おもちゃで一緒に遊んであげたりして、ハーネスに馴染んでもらいましょう。

慣れてきたら徐々に着用時間を伸ばしていきます。年配の子は時間がかかる傾向がありますから、気長に取り組みましょう。

慣らすための着用時も必ず見守りを

ハーネスに慣らす目的で、ケージ内や放牧中につけたままで過ごすなら、必ずそばで見守ってあげてください。ハーネスが引っかかって思わぬ事故につながるおそれがあります。お腹を見せるフェレットー【フェレットのハーネス】散歩に行かなくても必要?「抜けない」は必須条件

ハーネスに慣れたら、フェレットもお外に散歩に行けるの?

「ハーネスを嫌がらなくなったから、ちょっとお出かけしてみよう」そう考えるのも自然な流れですが、ちょっと待って。フェレットの散歩は、犬とはわけが違います。

フェレットは飼い主さんと並んで歩き、飼い主さんの行きたい方向についてきてくれるわけではありません。リードで引っ張って一緒に歩くにも練習が必要です。外の世界に触れることは五感を刺激できるメリットもあるのですが、散歩のリスクを知ったうえで冷静な判断が必要です。

家の外はフェレットにとって危険がいっぱい 散歩はリスクを知ったうえで判断を

外に出ると、路上に落ちているものを拾い食いしたり、他の動物とのトラブルになったりする可能性があります。フェレットは、地面から口までの距離が近いだけに、かなり注意していないと拾い食いに気づけません。さらに、犬と遭遇したり蚊に刺されれば、ジステンパーやフィラリアなどの感染症にかかる危険もあります。
また、フェレットを散歩させていると目立ちます。「かわいいね」と声をかけてもらえるのは嬉しいことですが、撫でようと差し出された手にフェレットがうっかり噛み付いたら大変です。

普段あまり外に出さない動物だけに、注意すべきポイントも多く、想定外の危険がともなうことを忘れてはいけません。フェレットの散歩は不可能ではありませんが、これらの危険を知ったうえで、常に目を離さないこと、そして、いつでも散歩を切り上げられるようキャリーを持っていくなどの準備が必要です。

フェレットは広大なスペースを走り回ることが必須ではありませんから、まずは室内をフェレット仕様にして思い切り遊ばせてあげるほうが、お互いのためかもしれませんね。

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ハーネスとリード、前もって準備しておけると安心

散歩に行かなくとも、リードとハーネスを持っておき、必要なら装着できるくらいには慣れさせておくと安心です。ただし、選択肢が多くはないフェレットのハーネスですから、安全を第一に考え、無理しないという視点も忘れないでください。


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橋爪宏幸

フェレット情報局編集長。 フェレット専門店フェレット・リンクのオーナー。 ExoticpetSaver FirstResponder/ExoticpetSaver Emergency Rescue Technician。 まだまだ分からないことが多いフェレットの世界。フェレットとの暮らしに少しでもプラスになるように、世界中からフェレットの情報を集めて発信していきます。