フェレットくんと暮らす飼い主のみなさん、こんにちは。
日本ではまだまだ「珍しいペット」のフェレット、生体や飼育方法についての情報も限られていますよね。疑問やお悩みをどこで解決すればいいの?とお困りの飼い主さんもいるのではないでしょうか。

フェレット情報局は、フェレットと暮らす方のためのメディアです。フェレットの生態・お世話の仕方について、日々フェレットに接している専門店『フェレットリンク』のスタッフが発信します。

国内では飼育頭数が少ないフェレットですが、海外に目を向ければメジャーなペットとして愛されています。フェレットの生態にはまだ謎も多く、諸説あります。フェレット情報局は、アメリカ・ヨーロッパのWebサイトや文献も参照しながら、現時点で正しいと思われる情報を中心に、ちょっと珍しいお話もお届けできたらと思います。

今回のテーマは、フェレットのエサ(フード)。健康でイキイキとした毎日のために、バランスの取れた食事を用意してあげたいものです。フェレットの栄養についての基礎知識と、フード選びで参考にすべきことをお伝えします。

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フェレットの理想の食卓は「完全肉食」

フェレットは自然界では捕食者であり、完全な肉食動物です。

哺乳類の中で捕食者は「食肉目」に分類されますが、食肉目に属する動物たちでも「肉食レベル」はさまざま。例えば、一部のクマは木の実やイモを進んで食べますし、パンダは竹が主食です。

対するフェレットは完全な肉食動物。フェレットの祖先であるヨーロッパケナガイタチは、鳥・ネズミなどの小動物や昆虫を食べて暮らしています。

そんなフェレットの食餌は、以下の3つがポイントです。

(1)消化しやすい動物性タンパク質が豊富である
(2)主なカロリー源となる脂肪が十分に含まれている
(3)炭水化物(糖質・繊維質)をほとんど含まない

いくら肉食とはいえ、人間の感覚では「野菜を摂らなくて栄養が偏らないの?」と不思議に思えます。

肉食動物は一般に、草食動物の内臓を食べることで、草食動物が摂取した植物中の栄養成分を取り入れると考えられています。

植物の大部分を占める繊維質は、動物にとって消化・吸収が難しいものです。栄養として利用できる形にするまでに長い時間と複雑な工程が必要で、草食動物の身体はその仕組みを備えています。

一方、肉食動物はそうではありません。草食動物に消化・分解してもらった形ではじめて、植物中の成分も栄養にできるというわけです。実際、一部の肉食獣は、獲物をとらえた時に内臓部分から食べ始めるとも言われています。本能的に、身体に必要なものを知っているのでしょう。

食餌の基本「ドライフード」はどうやって選ぶ?

フェレットくんの毎日のご飯として、第一選択になるのは、市販のフェレット専用のフード(ドライフード)でしょう。フェレット用ドライフード必要な栄養素のほとんどを満たせるように設計されたフードが数多く発売されています。フェレットの飼育頭数が多いアメリカでも、最も一般的なのは専用のドライフードだそうです。

手に入れやすさと扱いやすさが魅力のドライフードですが、栄養バランスを満たすには選び方が肝心。良質なフードを選ぶ手がかりは、フードのパッケージに記載された成分表示です。

大人のフェレットに与えるフードの場合、タンパク質(粗タンパク質)が36%以上で、脂肪(粗脂肪)は約20%、繊維質(粗繊維)は2〜3%程度が望ましいとされています。
なお、フェレットの最適な栄養バランスについてはいろいろな考え方があるので、この数値はあくまで目安と考えてください。

ではポイントをみていきましょう。

①タンパク質は「質」にもこだわりたい

タンパク質の含有量とともに大切なのが「品質」。フェレットにとって高品質なタンパク質とは「消化しやすい」「動物性」のものです。

タンパク質には、大豆やとうもろこしなどから採れる植物性のものもあります。また、筋肉のように消化しやすいタンパク質と、羽やひづめ・骨などに由来する消化しづらいタンパク質があります。

植物性タンパク質を多く含む食事を摂ると尿がアルカリ性に傾き、尿石ができやすくなります。
そして、消化しづらいタンパク質では吸収効率も低下します。例えば、成分表示上は粗タンパク質が30%のフードでも、消化率が70%なら、実際に利用できるタンパク質は21%しか含まれていないことになります。タンパク質が豊富な肉
フードの原材料は一般に、含有量の多い順に記載されています。原材料の欄に、チキン、ラム、 ビーフ、サーモン、鹿肉などの肉類が記載されていれば動物性タンパク質が豊富だとわかります。「鶏肉」や「チキンミール」またはその副産物が原材料リストの最初に表示されているのが理想で、レバーや卵が含まれるのは最高品質の部類です。

②穀類と繊維質は極力少なく

炭水化物(穀類や芋類、そして繊維質)はフェレットに与える必要がほぼありません。しかし、フードの形状を保つためにほとんどの製品で小麦粉やトウモロコシなどの穀類が使用されます。また、時にはコストダウンのために添加されることも。穀類が原材料の上位に表示されているフードは避けた方が無難です(※)。

フェレットは腸が短いうえ、炭水化物を利用できる形に分解する酵素をあまり持っていません。炭水化物をフェレットは栄養源として利用できないのです。
これら炭水化物の含有率が増えると、相対的にタンパク質や脂肪など必要な栄養素の量が少なくなってしまうおそれがあります。さらに、短期的には下痢を引き起こす可能性があり、長期的には、腫瘍の原因になる可能性も指摘されています。小麦粉
※表示順については、小麦粉が95%で鶏肉が5%といった場合、通常ですと小麦粉、鶏肉の順に表示されますが、フェレットフードの場合、仮に小麦粉、鶏肉と表示しても法的に問題はありません。ペットフードの表示は人間用の食品ほど厳格ではないので、心配であれば、製造メーカーに問い合わせるとよいでしょう。

キャットフード・ドッグフードはフェレットに与えていいの?

キャットフード・ドックフードには、ドライフードやウェットタイプの缶詰などさまざまな種類がありますが、ここではドライフードについて考えてみます。

ドッグフードはフェレットにNG

まずドッグフードは、フェレットに与えるべきではありません。
イヌは食肉目の中でも雑食性が強い動物です。ドッグフードには炭水化物が多く含まれ、相対的にタンパク質の含有量も少なくなります。フェレットが食べると、消化不良や栄養不足の原因になりかねません。
長期的に与え続けることで栄養失調や免疫機能の低下が起こり、消化器系や呼吸器系の感染症によって、最終的に死亡するというデータもあります。

また、ドッグフードの多くはフェレットにとって大きくて硬すぎるので、うまく噛めず、歯や口に悪影響を及ぼすおそれもあります。
ドッグフード
誤って少量食べてしまっても、すぐに健康を害するわけではありませんが、ドッグフードをフェレットのエサとして与えることは避けてください。

キャットフードは「一時的な代用品」と考えて

ネコはフェレットと同じ完全肉食なので、キャットフードをフェレットに与えることは可能です。さらに、キャットフードには動物性の脂肪でコーティングされたものもあり、フェレットの食いつきがとても良いものもあります。

ただ、一般的にはキャットフードを常食として長期間、与え続けるのは望ましくありません。ネコとフェレットでは必要とする栄養素が微妙に違うからです。

一般的なキャットフードには、フェレットに必要な量の脂肪分が含まれていないことが多く、さらに、安価な製品では、タンパク質が少ない、植物性タンパク質や炭水化物の割合が多いなどの問題があります。海外では、安価なキャットフードを基本食としてフェレットに与え続けたら、脱毛症、心臓病、全身の筋力低下などが生じたというデータもあるのです。

さまざまなキャットフードがありますし、キャットフードを何年も食べて元気に暮らしているフェレットもいますが、専用フードを選ぶ方がより確実でしょう。
キャットフードは「フェレットフードを切らしてしまった場合の代替品として一時的に」「どんなフェレットフードも食べてくれないのでやむを得ず」といったように、限定的に与えるものと考えていただければと思います。
キャットフードを食べる猫
なお、適切なフェレット専用フードが手に入らないなどでキャットフードを常食として与える場合は、フェレット専門店にご相談ください。キャットフードの中にもフェレットの成長と健康に必要な栄養を満たすと考えられるものもあるので、そういった製品を選んであげてください。
※厳選ブレンドフェレットフードには、そのようなフードが使用されています。

フェレットくんの健康な毎日は栄養バランスのよい食餌から

食べたものが体を作るのは人間もフェレットも同じ。栄養バランスの良い、安心できるフードを準備してあげるのはとても大切なことです。

なお、フェレットの消化・吸収の仕組みにはまだわかっていないことがたくさんあります。必要な栄養成分は年齢や健康状態によっても異なるので、フード選びのポイントを参考にしつつ、その子に合わせて食事内容を調整してあげてください。

今後、ペットのフェレットの生態の研究が進むことで、健康寿命を伸ばせる、より理想的な食餌内容が明らかになってくるかもしれません。
フェレットくんの健康な毎日のために、アンテナを張って情報収集をしていきたいものですね。

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<参考文献>
Cathy Johnson-Delaney(2016). Ferret Medicine and Surgery (English Edition)
田向 健一『フェレット飼育バイブル 長く元気に暮らす 50のポイント コツがわかる本』メイツ出版、2021年


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橋爪宏幸

フェレット情報局局長。 フェレット専門店フェレット・リンクのオーナー。 まだまだ分からないことが多いフェレットの世界。フェレットとの暮らしに少しでもプラスになるように、世界中からフェレットの情報を集めて発信していきます。