フェレットくんと暮らす飼い主のみなさん、こんにちは。
フェレット情報局は、フェレットの生態・お世話の仕方について、専門店『フェレットリンク』のスタッフが発信するメディアです。

「フェレットが寝起きに震えるのは寒いから?」「食後によくブルブルするんだけど大丈夫?」とご質問をいただくことがあります。フェレットが震えるのは時折見られる行動で、ほとんどの場合、心配いりません。でも、飼い主さんはなぜ震えているのか気になりますよね。
理由や対処法を見ていきましょう。
こちらを見上げるフェレットーフェレットが震えるのは病気?お風呂・寝てる時・抱っこでブルブルする理由

フェレットが震えるってどういう状態?

私たち人間は、寒気を感じて全身がガタガタと身震いすることもあれば、極度の緊張で手だけがプルプルと細かく震えることもありますよね。フェレットの「震え方」にもさまざまなタイプがあり、全身を小刻みに震わせることもあれば、足など体の一部だけがピクピクと動くこともあるんです。

震えている時間も数秒から数分とバラツキがあり、フェレットの震え方はバリエーション豊かです。この記事を読んで「あの動きが“震え”だったんだ」と気づく飼い主さんもいるかもしれませんね。

フェレットが震える理由

フェレットは他の動物に比べて、震える頻度が高いようです。フェレットの「震え」にはまだ解明されていない部分も多いのですが、主に、以下の理由が考えられています。

①興奮している

興奮することでアドレナリンが放出されると心拍数が上がり、体が震えると考えられています。「さあやるぞ!」という時にブルッと身震いするのを、戦に向かう前に気持ちが高まり震える様子にたとえて「武者震い」と表現しますが、それに似ていますね。

新しいオモチャで遊ぶのが楽しくてワクワクしている時や、狩りの対象である小動物の姿を見たり物音を聞いたりした時の震えがこれに当たります。中には、部屋に入ってきた飼い主さんを見て「やったー!一緒に遊んでもらえる」という期待感で震える子もいるのだとか。

興奮からくる震えは、数分で落ち着くことが多いようです。人間の手をつかむフェレットーフェレットが震えるのは病気?お風呂・寝てる時・抱っこでブルブルする理由

②睡眠・食事で代謝率が変化している

英語圏のフェレット飼育情報を発信するウェブサイトでは、フェレットのエネルギー代謝量は活動時と睡眠中で大きく異なり、この変化に関連して震えが起こるという話も紹介されています。ただ、これについては諸説あり、具体的にどのような仕組みで震えが起こるのかまでは、十分には解明されていないようです。

③寒い

寒い時に震えるのは熱を生み出そうと筋肉を動かす反応で、人間同様、フェレットも低温で震えます。フェレットは寒冷な気候に強いので、寒くて震えるケースは少ないとも言われています。ですが、室内飼育の子は暖かい環境に慣れていますから、冬場に暖房なしでは寒くて震えることもあると思います。

関連コラム:フェレットの冬の適温・寒さ対策は? 保温のアイデア【フェレットの秋・冬支度】室温は何度?寒さ対策は暖房なしでOK?

④ストレスや緊張、不安を感じている

ストレスを受けるとコルチゾールというホルモンが分泌され、心拍数をあげ血管を収縮させる結果、体温が下がり震えると考えられています。
実は、ストレス・緊張・不安は、フェレットが震える理由で多いものの1つです。隠れたりし、シューと鳴くなど、ストレスサインが見られる場合もあります。

⑤病気の症状

病気が原因の震えの場合、よくあるのは以下の2つです。

インスリノーマ

インスリノーマによって起きる低血糖発作で痙攣している様子が「震え」に見えることがあります。中年以降はインスリノーマにかかるリスクが上がるので、震えの他に、嘔吐や脱力、意識がないなど、様子がおかしければすぐ受診してください。

耳ダニ

自然と「震える」わけではありませんが、自ら頭をブルブルと「震わせる」ことがあります。耳を引っ掻く仕草も見られるなら耳ダニがかなり増えて痒がっている可能性があるんです。耳をガリガリとかいた手にはダニがくっつきます。その手で体の他の部分を触ることでダニもうつって痒みが広がり、体全体を震わせることもあります。ケージに鼻を近づけるフェレットーフェレットが震えるのは病気?お風呂・寝てる時・抱っこでブルブルする理由

このふるえは病気?それとも正常?見分け方

どこまでが正常で、どこからが病気かは、専門家でないと判断が難しいものです。
「よく震える」のは心配ないことが多い一方、「常時震えている」「震えがあまりに頻繁で長い時間続く」場合は一度、受診しておいた方が安心です。
震えの背景にある病気を見落としたために受診が遅れて病気が進行したら、取り返しがつきません。「様子見でいいか自信がない」という時は念の為、獣医師に相談することをお勧めします。

こんなときにフェレットが震えるのは普通?

場面ごとに、フェレットの震える理由を考えてみましょう。

お風呂の最中や、上がった後に震える

水温が低く寒いのかもしれませんし、水が嫌いで濡れることにストレスを感じているのか、初めてお風呂に入る子は水が怖くて震えることも。お湯の温度を確認し、お風呂嫌いの子の入浴では、こちらの方法も参考にしてみてください。

食事中に震える

代謝の変化によるものと思われますが、他の理由も考えられます。
海外での話ですが、生肉を与えると食事中にずっと震えている子が時折おり、飼い主さんたちの間では「美味しすぎて感動しているんだね」と捉えられているんだとか。
興奮で震えると考えられているのですから、美味しさのあまり感極まって震えるという理由ですが、本当のところはどうなのでしょうか。

抱っこすると震える

「抱きあげると震えている」という話もよく耳にします。怖がっている・嫌がっている様子なら、やむを得ない場合を除いて、抱っこはやめましょう。なお抱っこのポイントや、嫌がる子への対処法はこちらの記事を参考にしていただければと思います。

他にも、寝起きのタイミングで抱き上げられたから震えている、体に触れる飼い主さんの手が冷たくて震えている、なども考えられます。手を温めてからの抱っこも試してみるといいかもしれません。

フェレットの生態はまだまだ研究途上ですから、今後「なぜ震えているのか」がもっと解明されてくるかもしれませんね。2匹の子供フェレットーフェレットが震えるのは病気?お風呂・寝てる時・抱っこでブルブルする理由

フェレットが震えている時はどうすべき?

明らかに様子がおかしい場合をのぞけば、基本的に、震えが自然におさまるまで特別な対応は不要ですが、おさまらないようであれば獣医師の診断を仰ぎましょう。寝起きの震えは生理現象で、体にとって必要ですから、止めようとしないでください。

注意したいのは、震えを止めようとして「温めすぎること」です。震えている姿をみるとつい「寒いのかな?」と心配して、室温を上げたくなるかもしれません。ですが、フェレットは暑さが苦手。室温が適切なら、震えていても温める必要はありません。

ストレス・緊張・不安からの震えている場合は飼育環境を見直す対処を

お迎えしたばかりの子や、初めて病院を受診する子が震えていたら、緊張・ストレスが原因の可能性大です。震えが出るほどのストレスが長く続けば免疫力の低下が起こるとも考えられています。ストレスがかかったことで震えているなら、落ち着かせるために、ストレス源を探り取り除いてあげましょう。

ただ、いくらフェレットが負担を感じるとはいえ、病院受診は止めるわけにはいきませんよね。震えがおさまるまでは一旦、診察を中断してもらうなど、臨機応変に対応できるといいですね。

飼い主さんには想像してほしい フェレットが震えている理由

震えている人を見たら「どうしたんだろう、大丈夫かな?」と心配になりますが、フェレットの場合は震えていても基本的に心配不要です。ストレスや緊張が原因と思われる場合は対処が必要ですが、そうでないのなら、暖かく見守ってあげましょう。

震える原因はさまざまで、その裏にはいろんな気持ちがありますから、飼い主さんには、よく観察して、震えている理由を想像していただければと思います。「うちの子、今なんで震えているのかな」と思いを巡らすのもまた、楽しい時間になりますよ。


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橋爪宏幸

フェレット情報局局長。 フェレット専門店フェレット・リンクのオーナー。 ExoticpetSaver FirstResponder/ExoticpetSaver Emergency Rescue Technician。 まだまだ分からないことが多いフェレットの世界。フェレットとの暮らしに少しでもプラスになるように、世界中からフェレットの情報を集めて発信していきます。