フェレットくんと暮らす飼い主のみなさん、こんにちは。
フェレット情報局は、フェレットの生態・お世話の仕方について、専門店『フェレットリンク』のスタッフが発信するメディアです。

フェレット同士がくっついて眠ったり、団子になってじゃれあったりする姿はとても可愛らしいもの。1匹目のお世話に慣れた頃、2匹目、そして3匹目とお迎えしていく飼い主さんも珍しくありません。
今回は、フェレットの多頭飼育について知っておきたいことをご紹介します。
ケージの中に入った2匹のフェレット

フェレットの多頭飼育って実際どうなの?

仲間と一緒に暮らすことは、フェレットたちにとってどんな意味を持つのでしょうか。

フェレット同士は最高の遊び相手に!多頭飼育のメリット

「all or nothing(全か無か)」と表現されることもあるほど、起きている時は休みなく全力で遊ぶフェレット。飼い主さんでは付き合いきれないときも、同じフェレット同士なら、思う存分遊べます。「フェレットの一番の遊び相手は同じフェレット」と紹介している飼育書もありますが、仲間と一緒にいることでフェレットの毎日はより充実すると考えて良いでしょう。

さらに、くっついて眠る姿はまるで「一緒だから安心するの」と言わんばかりに見えます。仲間と暮らすことはフェレットのストレス軽減の効果もあるかもしれません。

ただし大前提は、新しくお迎えするフェレットと先住の子が、息のあった仲良しになってくれること。「新入りくん」と「先住くん」がうまくいくように、飼い主さんは何ができるのでしょうか。

新しいフェレットくんと先住フェレットくん、仲良くなるためのポイント

大切なのは「パートナーの選び方」「時間をかけてゆっくりお互いの存在に慣らすこと」です。

できるだけ年の近い同士で、幼少期から一緒に暮らせるのがベスト

子どものフェレットは常に、遊び相手や一緒に眠る相手を探しているので、幼少期に2匹を引き合わせれば、かなりの確率ですぐに仲良くなれます。

「2匹目に同じくらいの年齢の子をお迎えする」のが難しい場合は、できるだけ年齢が近い子を選びましょう。年齢差が大きいほど、遊び相手になるのが難しくなります。

特に、ずっと単独で飼育されてきた年配のフェレットに、幼いフェレットを引き合わせた場合はケンカになりやすいとされているので、慎重に検討しましょう。

性別も相性の良し悪しに関係あり!?

フェレットはオスが「おっとりさん」でメスはせっかちな傾向があり、うまくいきやすいのは、オス同士か、オス・メスの組み合わせと言われています。
お互いに興味を示す2匹のフェレット
人間と同じように、性格には個体差がありますし、オスのような性格のメスやその逆もあります。先住くんの個性・性格をしっかりと見極めたうえで、ペアとなる子を選びましょう。もし事情が許すなら、お迎えする子を選ぶ際に、先住君を一緒にお店に連れて行き相性を確認するのも一つの方法です。

「ご対面」まではできるだけ時間をかけて、焦らずゆっくりと

人間も、自分の部屋に突然、まったく知らない人が入ってきたらいい気持ちはしませんが、フェレットも同じです。問題なく受け入れてくれるようであれば良いですが、そうではない場合は、しっかりと様子を見ながら引き合わせていきます。ちょっと難しそうかなと思ったら、思い切って2週間はフェレット同士を引き合わせないようにしてください。

それぞれのケージは別の部屋に置きましょう。この2週間は、新入り君にとっては新しいお家に慣れ、飼い主さんとの絆を深める時間です。先住君がケージの中にいる間に、新入り君に家の中を散歩させてあげてください。

フェレットの嗅覚はとても敏感なので、目には見えなくとも同じ家の中にいることで、ニオイをなんとなく感じ取り、お互いの存在にゆっくりと慣れていきます。それぞれのおもちゃやハンモックなど、ニオイのついているものを交換する方法もあります。

病気の持ち込みを防ぐためにも最低2週間の検疫期間は大切

新入り君と先住君を2週間接触させないメリットは、新入り君による病気の持ち込みを防ぐこともあげられます。新入り君には予防接種と健康診断を受けさせる必要がありますが、潜伏期間もあるので、獣医師のチェックですべての病気が見つかるとは限りません。念のため、最短でも2週間は2匹を接触させないでおくと安心です。

ちなみにフェレットからフェレットに感染する病気でよく見られるのは耳ダニです。「検疫期間」は、新入り君の体調をよくチェックしましょう。

フェレットの「初めまして」の瞬間はどうすればいい?

十分に準備期間を過ごしたら、いよいよご対面です。

初対面はどちらのテリトリーでもない場所で、まずはお互いのニオイチェックから

フェレットにとってケージは自分のナワバリですから、初めて対面するときは、どちらかのケージの中や近くではなく、まったく別の場所がお勧めです。
中良さそうな2匹のフェレット
まずはフェレットを片手で一匹ずつ抱っこして、お互いのニオイを確認させてあげましょう。この段階ではまだ2匹が接触しないようにします。フェレットたちが体を伸ばしてお互いのニオイを嗅ぎたがるようなら、第一関門はクリア。2匹を自由に遊ばせ始めて構いません。
体を縮めて拒否したり、すぐに「シャー」という鳴き声を立て始めたりした場合は、いったんケージに戻し、翌日以降に再試行してください。

これってケンカ? フェレット同士の遊びは想像以上に激しい

フェレット同士の遊びは時にかなり乱暴に見えるので、飼い主さんが「大丈夫?」と心配してしまうことも。この遊びには実際、小競り合いの意味もあり、首の後ろに噛み付く行為などは、どちらが上の立場か決める目的があるようです。

激しい遊びから一息つくために、安心して逃げ込める場所は近くに用意しておいてあげてください。また、すぐ仲良くなったように見えても、対面からしばらくは2匹だけにせず、必ず見守ってあげましょう。

こんな様子が見られたら「仕切り直し」のサイン

激しく遊ぶのがフェレット流とはいえ、飼い主さんが「ストップ」をかけるべき場面もあります。

1つは、血が流れるほどの怪我をしたときです。フェレットたちは通常、激しく遊んではいても、お互いに危害を加えることはほぼありません。流血するほどの怪我は遊びではなく、本気の攻撃になっているおそれがあるので、引き離しましょう。
ちなみに、首の部分に噛み付くのはよく見られますが、首の皮膚は丈夫で、少しくらい噛んでも大丈夫なことがほとんどです。血が出るほどでなければ見守ってOKです。
おもちゃを追いかけるフェレット
2つ目は、片方が物陰に隠れてしまって出てこないなど、ひどく怯えているとき、または、「キューッ」と悲鳴をあげるときです。ストレスがかかりすぎているので、いったん2匹を引き離しましょう。

なお、遊びが白熱しすぎているように見える時は、首の部分にフェレット用の液状おやつを少し塗ってみる方法もあるのだとか。首の後ろに噛みつきたがるフェレットも、美味しいおやつで我にかえり、おやつを舐め始めてクールダウンできるそうです。

顔合わせが成功したかどうかはどうやって判断するの?

遊びかケンカかイマイチわからない、という時は、2匹の動きをよく観察してください。フェレットは追いかけっこが大好きですが、追いかける側と追いかけられる側が相互に交代しているなら、上手に遊べています。

なお、顔合わせがうまくいった後も、すぐに同じケージに入れると目を離している隙にケンカをしてしまうこともあるので注意が必要です。どこまで時間をかける必要があるかはケースバイケースですが、慎重にいく場合は、以下の手順を参考にしてください。

・1日1〜2回、30分ほど、飼い主さんの見守るなかで一緒に遊ぶ時間をもうける
・数日経って問題ないようなら、2匹のケージを隣同士に置く
・フェレット同士を遊ばせている時に、お互いの毛繕いをする、並んで寄り添うなどの様子が見られたら、十分な大きさのあるケージに2匹を入れる

最終的に新入り君と先住君が一緒に寝られるようになったなら、もうすっかり仲良しのサインです。
フェレットたちがお互いのことをよく知り、良い関係が築けるよう、飼い主さんはじっくりサポートしてあげましょう。

多頭飼育が失敗?他のフェレットと暮らすのが苦手な子もいる

手を尽くしても、残念ながら仲良くなるまで時間がかかってしまうこともあります。実はフェレットの中には「1人が好きな子」もいるんです。

フェレットは本来「群れない生き物」だった

フェレットのご先祖様のヨーロッパケナガイタチは、群れで暮らす生き物ではありません。むしろ、余計な衝突を避けるため、繁殖期以外はお互いに近づかないようにしているのだそうです。

一方、ペットのフェレットは、長い年月をかけて家畜化されるなかで、性質が野生時代とは大きく変化しました。大人になった後も、兄弟でじゃれあって遊ぶ、一緒に眠る、互いの毛繕いをするなどといった、幼少期の行動特性を保っているのがペットのフェレットです。

ただし、大元をたどれば野生で暮らしていた頃は単独行動をしていたため、仲間と暮らすことに時間がかかる子がいるのも仕方ないのかもしれません。部屋の中を歩き回るフェレット

「フェレットたちの準備ができるまで待つ」多頭飼いに必要な覚悟

2匹目をお迎えしたものの先住の子とすぐに仲良くなれない場合、別々のケージで飼育し、別の部屋で、それぞれ時間をとって遊ばせる必要が出てきます。時間をおいて、上でご紹介した「ご対面」の手順を何度も試してみて、フェレットたちが慣れるのを待つしかありません。
激しいケンカに至るペアも、1〜2週間程度で落ち着くことが多いようですが、保証はありません。その間、飼い主さんの負担は大きくなりますが、フェレットたちのタイミングを待つしかないのです。
魅力的な多頭飼育ですが、踏み出す際には慎重に計画的にお迎えすることが必要です。

新入り君と先住君、双方の心のケアも十分に 「お迎え症候群」にご注意

2匹のフェレットが一緒に暮らし始める時、ケンカの他にも気をつけたいのが「お迎え症候群」です。

多頭飼育をスタートすることは、フェレットたちにとって大きな環境の変化です。そのためストレスを感じ、体調不良を起こしたり気性が荒くなったりすることがあり、これを「お迎え症候群」と呼びます。

「お迎え症候群」は新入り君にも先住くんにも起こりえますが、比較的、先住の子に多いようです。私たち人間でも、自分だけのお城に突然「同じ人間だから平気でしょ」と見知らぬ子どもを放り込まれると、どうしていいか戸惑います。そのうえ、これまでは自分を一番にしてくれていた大好きな人がその子のお世話ばかりしていたら、大きなショックを受けますよね。

一緒に暮らし始めたら先住君への配慮を忘れず、名前を呼ぶ順番やご飯をあげる順番は先住君を優先してあげましょう。

仲間がいれば、フェレットくんの毎日はもっと楽しくなる

初めは相性が今ひとつに見えても、時間が解決してくれるケースもありますし、何より、思いっきり遊べる仲間がいるのはフェレットにとって幸せなこと。全員が安全で快適に過ごせるよう、迎え入れる子の健康診断やワクチン接種をはじめ、飼い主さんは責任を持ってサポートをしてあげてください。

<主要参考文献>
Cathy Johnson-Delaney(2016). Ferret Medicine and Surgery (English Edition)
田向 健一『フェレット飼育バイブル 長く元気に暮らす 50のポイント コツがわかる本』メイツ出版、2021年
AFA Education Committee. Quarantine! Precautions to Take when Adding a New Ferret to Your Business


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橋爪宏幸

フェレット情報局局長。 フェレット専門店フェレット・リンクのオーナー。 まだまだ分からないことが多いフェレットの世界。フェレットとの暮らしに少しでもプラスになるように、世界中からフェレットの情報を集めて発信していきます。