デンプンの消化は、主にウサギの年齢や、食餌中のデンプン量やデンプンがどの植物由来かによって影響を受けると言われています。また、餌料の製造工程や栄養補助食品として酵素を使用するなど、他の要因も影響を及ぼしているようです。

 

年齢と飼料中のデンプン

 

ウサギのデンプン消化に月齢はあまり影響しないことが分かっています。具体的には、成熟したウサギでは餌料の種類により若干の違いはあるものの、ほぼ90%以上のデンプンが小腸を通過した時点で消化されているようです。これまでの研究結果から、餌料中のデンプンは糞として排出されるまでに99%が消化されることがわかっています。成長期のウサギでは、トウモロコシを与えた場合、デンプン消化率が若干低いものの35日齢時点でも90%以上は消化しており、11週齢ではトウモロコシのデンプン消化率は95%になっています。その他の餌料原料では成熟したウサギとデンプンの消化能力は変わらず、98%以上であることが明らかになっています。

 

消化酵素

 

デンプンの消化を行う酵素としてアミラーゼがあります。アミラーゼはpH2~3の環境に30分ほど置くことで酵素活性が無くなるため、ペレットに添加してもさほど効果があるものではないようです。そもそもウサギのデンプン消化率は99%程度と高いためもともと必要ないかもしれません。

 

餌料製造工程

 

粒のままのような未処理の餌料原料は粉末に比べるとデンプン消化率が低くなります。これは我々人間でもよく噛んで食事をとるほうが良いということと似ているかもしれません。

 

澱粉減退

 

草食動物ではデンプンが多量に微生物が棲む発酵槽(ウサギの場合は盲腸)に流入すると繊維消化率が低下する現象があります。それはウシなどの反芻動物で報告されている現象ですが、澱粉減退と言います。繊維分解菌はpH7付近の中性な環境で繊維を分解していますが、この環境にデンプンという易消化性の糖質が入ってくると微生物に分解され乳酸が産生されます。この乳酸が発酵槽のpHを低下させ、繊維分解菌の働きが弱まり、繊維消化率が減退するという現象が澱粉減退となります。きちんとした解明はされていませんが、うっ滞の原因として繊維質の少ないもの(植物は繊維質が少ないとかわりにデンプンが増えやすい)ばかり与えていると、ウサギの盲腸内の繊維分解菌の活性が下がり、盲腸内に入ってきた繊維が分解されず盲腸内に詰まることや盲腸内のpH変化に伴い盲腸内細菌叢が変化し異常にガスが発生することも考えられます。このため、ウサギが良く食べるからといってデンプンを多く含む小麦粉を大量に使用したフードやおやつを過剰に与えたりしないほうがウサギの健康にとって良いことはお分かりいただけると思います。

 

 

参考文献

Blas, E., Gidenne, T. 2020. Digestion of Sugars and Starch. In: Nutrition of the Rabbit, 3rd Edition. CAB International, pp. 21-40.


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川﨑浄教
香川大学 農学部助教 農学博士 現役の研究者としては、日本唯一のウサギ栄養学の研究者