「うさぎ」とは、どんな動物?

私たちが伴侶として暮らしている「うさぎ」ですが、諸説ありますが約3000年前から人によって飼育されるようになったようです。

祖先はヨーロッパ南西部に起源をもつと考えられており、学名はOryctolagus cuniculus です。

この学名のOryctolagusの語源は「野兎に似ていて、地下に道を作っていく掘り進める生き物」の意味があるようです。その名の通り、うさぎは地下に巣をつくって生活する動物です。「野兎」と似ていて。と記載しましたが、うさぎと野兎は違うものなのでしょうか?
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、私たちが一緒に生活している「うさぎ」の英名はRabbitですが、野兎は英語でHareと言います。野兎はテレビでよく雪山の中を走っているウサギたちのことです。このRabbitとHareは、どのように異なるのでしょうか?

実はRabbitとHareはとても似ていますが、実は違う動物なのです。

野兎のHareはほとんどの時間を地上で暮らす動物です。生まれたときから毛が生えていて、目も見えている「早生性動物」と言われる特徴を持ちます。
この特徴を持っているほかの動物は牛とか馬です。極端に未熟な状態で生まれるのではなく、お母さんのおなかの中である程度成熟してから生まれてくる動物たちのことです。

それに対し、Rabbitであるうさぎは「晩生成動物」です。人、犬、猫などのように未熟な状態で生まれて母動物が世話をしながら大きくする特徴を持ちます。
Rabbitの方は毛がなく、目も見えない状態で生まれてきます。Rabbitは土の中にトンネルを掘って生活しており、そこで出産をするので、土の中ですから天敵に襲われることが少なく、母動物は「小さく生んで大きく育てる」という行動的特徴を持つようになりました。

それに対し、Hareは地上で主に生活するので、生れ落ちたら天敵に襲われる前に母動物と一緒にすぐに逃げられるように十分に母のおなかの中で成長し、生まれてくるようになっているのでしょう。

私たちと一緒に暮らすRabbit(うさぎ)はトンネルを掘って、土の中で安全に暮らす動物ですから、ペットとして飼育する場合も隠れられたり潜り込んだりできるようにトンネルを作ったり、小さなウサギのおうちを入れて隠れる場所を作ってあげることでストレスが軽減できることがご理解いただけると思います。

ストレスを軽減できるように常に安全で安心できる隠れられるスペースを確保することが望まれます。

参考文献
① 7th Chapter “Rabbits” in Behavior of Exotic Pets. 69-77. Wiley Blackwell. 2010
② House Rabbit handbook by House Rabbit Society


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入交眞巳

一般社団法人うさぎの環境エンリッチメント協会 理事長。 獣医師、学術博士( PhD )、米国獣医行動学専門医 (ACVB) 専門:動物行動学、動物福祉学

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