フェレットくんと暮らす飼い主のみなさん、こんにちは。
フェレット情報局は、フェレットの生態・お世話の仕方について、専門店『フェレットリンク』のスタッフが発信するメディアです。

今回のテーマはフェレットの外出
散歩は基本的に不要とはいえ、病院を受診する、ケアのためにショップに連れて行く、ペットホテルでのお泊まりなど、外出が必要になるケースもあります。
フェレットとの外出に必要な準備や、知っておきたいポイントをご紹介します。

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フェレットの外出の必需品!キャリーを用意しよう

短時間・ごくわずかな距離の移動でも、キャリーケースは必須です。
「ちょっとそこまで」の距離でも、抱っこや、段ボール箱での移動は避けてください。
すばしっこいフェレットくんですから、屋外で脱走すれば捕まえるのは至難の技です。帰巣本能もありませんから、どんなに懐いていても自分から帰ってくることは期待できません。屋外に出たフェレット
外の景色に興奮したフェレットが腕からすり抜ける、段ボールを噛みちぎった穴から脱出することも十分考えられます。必ずキャリーケースに入ってもらいましょう。

フェレットのキャリーはどうやって選ぶ? チェックしたいポイント

「フェレット専用のキャリー」はなかなか見かけませんが、「小動物用」や「猫用」「小型犬用」がフェレットにも使えます。選ぶ際に頭に入れておきたいのは以下の点です。

(1)ハードキャリーかソフトキャリーか

キャリーケース(キャリーバッグ)は、ハードタイプソフトタイプの2種類に大きく分けられます(※)。

ハードタイプはケージを小さくした形状で、プラスチックや金属製のしっかりした作りです。重さはありますが、フードや水の容器、トイレも設置でき、長時間の移動も安心です。
フェレットのキャリーハードタイプ
ソフトタイプは布製が多く、軽くて持ち運びやすいのが特徴です。リュックサック型やトートバッグ型、ボストンバッグ型、スリング型などデザインも豊富ですが、ソフトタイプは、ハードタイプに比べると脱走のリスクが高くなります。ファスナー部分が最後までしっかりと閉められるもので、飛び出し防止のフックが付いているものを選ぶようにしてください。
フェレットの外出用キャリー(ソフトタイプ)※ハードタイプのようにプラスチック製でありながら、ソフトタイプのように背負う・前抱きができるなど、両者の特徴をあわせた製品もあります。フェレットを扱う専門店などにお問合せください。
フェレットのキャリーケース(ソフトタイプ)

(2)大きさはどのくらい?

キャリー内に寝室、トイレ、食器、水の容器が設置できるスペースがあるとフェレットは快適に過ごせます。

ただし「大きいほど良い」わけでもありません。キャリーが広すぎると、移動中の振動や衝撃でフェレットが転がる危険があります。同様の理由で、ケージをそのまま移動用に使うのはおすすめできません。

(3)素材

プラスチック製は掃除が簡単で価格もお手頃です。布製は汚れやすいですが、柔らかくて心地よいのが魅力です。それぞれの素材に一長一短がありますし、フェレット自身の「好み」もあるでしょう。
なお、簡単にかみちぎれてしまう紙箱や段ボール箱は適しません。

(4)通気性

しっかり換気できることは大前提です。特に、気温の上がりやすい夏場は熱気がこもらないよう風通しの良いものにしてください。

(5)ドアの大きさと位置(ハードキャリーの場合)

ドアの大きさは、人間が両手をしっかり入れてフェレットを抱きかかえられる大きめサイズがおすすめです。

側面にドアがついていると、フェレットが自分で出入りできる反面、出入りの際にフェレットが協力してくれないと手間取ります。
ドアが天井についているものは、飼い主さんがフェレットを抱っこして出し入れしやすいのが魅力です。移動中にフェレットの状態が気になった時も、ドアをガパッと開ければキャリーの中全体をすぐ確認できます。フェレットの外出用ケージの扉の位置

(6)脱走防止対策

ハードタイプの場合、ドアはロックがしっかりとかけられること、ソフトタイプの場合、ファスナーなどがフェレットには開けられないことを確認してください。

ソフトタイプは飛び出しにそなえて、引き紐やネットがついているものもありますが、フェレットの体格にあっていないとすり抜けてしまうので注意が必要です。ハードキャリーの網目の隙間は、2センチまでのものを選びましょう。

ベストなキャリーはシーンで異なる

「このキャリーがおすすめ」と一概には言えず、状況によって最適なキャリーは異なります。
例えば、30分程度の短時間ならソフトキャリーでも耐えられますが、長時間の移動なら水とフードの容器が取り付けられるハードキャリーが適しています。
移動手段が電車などの公共交通機関なら、目立ちにくくコンパクトなソフトキャリーに分がありますし、車移動の場合、座席に置いてシートベルトで固定可能なハードキャリーが安全です。また、夏場は暑さ対策のため風通しのよい網目タイプが、冬はあたたかさをキープしやすい布素材が安心ですね。

複数の種類を持っておき、移動時間や手段、季節に応じてケースバイケースで使い分けるのも良いでしょう。

なお、多頭飼育で数匹を一緒に移動させる場合、小型犬用のキャリーならスペースに余裕が生まれます。とはいえ、1つのキャリーに入れるのは3匹までにしてくださいね。

フェレットの外出にあると安心!用意しておくと便利な持ち物

「ちょっとそこまで」なら、身ひとつで出かけられないわけではありませんが、どんな事情で移動時間が長くならないとも限りません。持っておくと安心なグッズをリストアップしました。
フェレットの外出の持ち物

トイレ

消化管の通過時間が短いフェレットは排泄も頻繁ですから、トイレはあった方が安心です。できるだけキャリーに固定できるタイプのものにしましょう。

フードと水の容器

1時間以上の移動では、フードとお水、両方の容器をキャリー側面に取り付けてください。1時間未満の移動ではキャリー内に設置しなくても大丈夫ですが、手荷物には、必ずフードとお水を入れておいてください。

ハンモックや毛布などの寝具

キャリーの中にハンモックを設置してあげればフェレットは快適です。寝袋やタオルケット・毛布など寝具を入れてあげるのも喜ばれます。フェレットの外出用キャリーに設置されたハンモック

ペットシーツ

キャリーの床に敷いておくと汚した時も安心です。

キャリーを覆える布やタオル

キャリーをすっぽりと覆えるカバーは、人目と直射日光をさえぎれるので、フェレットのストレス軽減に役立ちます。空気が循環する軽い布素材のものが良いでしょう。
フェレットのキャリーのカバー

おもちゃ

退屈しのぎとストレス対策に、お気に入りのおもちゃをキャリーに入れてあげましょう。

ハーネスとリード

散歩させるつもりがなくとも、外出先で短時間、キャリーから出す必要が出てくるかもしれません。特に、小型のソフトタイプで移動する場合、到着した先でキャリーに長時間入れておくわけにも行きません。
慣れない場所でキャリーから出す場合の「保険」として、ハーネスとリードを持っておけば脱走防止に役立ちます。リードをつけてお散歩中のフェレット

移動の際に気をつけたいポイント

キャリーは安定するようにしっかりと持ちましょう。バスや電車移動の場合は床ではなく膝の上にのせ、車移動ならシートベルトでキャリーを固定してください。エアコンの吹き出し口や、スピーカーの近くは避けます。
移動時間が長くなるなら、眠りやすいようにキャリーを覆ってあげてください。

暑い季節は特に適温キープに気をつけて

フェレットは暑さに弱く、夏場の高温にさらされると深刻な熱中症になる危険があります。キャリーへの直射日光は避け、保冷剤や凍らせたペットボトルなどの冷感グッズを上手く活用しましょう。結露とイタズラ防止のため靴下で包むなどしてフェレットがかじれないよう対策してください。

車移動では座席のシートが非常に高温になっているので、タオルなどを敷いてから置くと良いでしょう。

スムーズな外出のための工夫

ポイントは、キャリーに慣れさせておくことと、移動中はできるだけ眠っていてもらうことです。顔をこちらに向けて眠るフェレット

普段からキャリーに入る練習をしておこう

外出の数日前からフェレットにキャリーを探索させ遊ばせます。
フェレットが自分からキャリーに入るようになり、落ち着いているなら、まずはドアを短時間だけ閉めてみましょう。嫌がらなければドアを閉める時間を徐々に長くし、できるなら一晩キャリーの中で寝かせてください。キャリーに自分のニオイがつくことで、フェレットは安心して過ごせます。

動物病院への受診は予期しないタイミングで訪れますので、普段から、キャリーを飼育スペースに出しておくなどして慣れさせておきたいですね。

おでかけの前にはたっぷり遊んで眠気を誘おう

フェレットはよく眠るうえ、睡眠がとても深いので、ぜひこの性質を利用しましょう。ぐっすり眠っている間に移動できるとストレスを感じにくいですし、飼い主さんの負担も減ります。
お出かけの前日から数時間前はいつもよりたくさん遊んで疲れさせ、移動中に長く眠っていられるよう調整してみましょう。

関連コラム:フェレットの睡眠時間は何時間が正常?眠り過ぎは病気?

外出は準備をしっかり&できるだけ短時間で済ませれば安心

外出の予定はなくとも、いざという時に慌てずに済むよう、普段から備えはしておきたいものです。
中には「飼い主さんの行くところどこでも一緒についていけるよ!」というたくましい子もいますが、移動はフェレットにとって負担ですし、慣れない環境では思わぬ事故にもつながりかねませんから、短時間で済ませることをおすすめします。


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橋爪宏幸

フェレット情報局編集長。 フェレット専門店フェレット・リンクのオーナー。 ExoticpetSaver FirstResponder/ExoticpetSaver Emergency Rescue Technician。 まだまだ分からないことが多いフェレットの世界。フェレットとの暮らしに少しでもプラスになるように、世界中からフェレットの情報を集めて発信していきます。