初めてうさぎさんをお迎えしようとしているお客さまに、

「うさぎにはストレスをかけてはいけない。」と飼育本やインターネットに書かれていたけど、どこまでそっとしておけばよいのか?

ということをよく聞かれます。

また、ストレスに弱いうさぎさんは、病気にかかりやすいのではないかと心配もされています。

実際のところどうなんでしょうか。

これにはいろいろと誤解もあるようです。

今日はこのあたりのことについてお話ししたいと思います。

病気にかかりやすいわけではない

結論からお話しすると、うさぎは他の動物と比較して特別病気にかかりやすい訳ではないということです。

下図は、ペット保険の最大手アニコム損保より提供いただいたデータを基に作成したものです。

これは、ペットの種類別にどのくらいペット保険を利用したのかを比較したものです。

ご覧いただくように、ワンちゃんやネコちゃんと比べても特に多い訳ではなく、

むしろ保険の利用率は少ないくらいだということがお分かりいただけると思います。

 

種別保険請求頭数比較(アニコム損保調べ)

種別 契約頭数 保険請求頭数 保険利用率
590,383 386,436 65.5%
121,455 56,409 46.4%
3,793 1,171 30.9%
うさぎ 11,870 5,292 44.6%
フェレット 4,213 1,804 42.8%

もちろんこの図表は保険の利用率の比較ですので、病気の発症率のデータではありません。

しかし現在のところ、うさぎや他の動物の病気の発症率を示すデータは公表されておりません。しかし、保険を使うということは、ケガや病気をしているということなので、「利用率が低い」≒「病気にかかりやすいわけではない」と言えるのではないかと思います。

このため今回公開させていただいたこの図表が、動物の種別による病気の発症率を推計できるデータと言えます。

ではなぜ、うさぎは病気にかかりやすいと思われたりするのでしょうか?

うさぎへの誤解

ご存じのようにうさぎは捕食される側の動物です。

このため、体調の悪い場合でも捕食者に悟られないように隠す習性があります。

これはお家で一緒に暮らすうさぎさんでも同様です。

『うさぎさんは寂しいと死ぬ』という言葉は、

多くの方が一度は聞いたことのある言葉です。

これはうさぎさんが家畜として飼われ、飼育方法などが今ほど分かっていない頃に、うさぎさんの体調の異変に気付かず、うさぎさんが突然亡くなるのを見て生まれた言葉ではないかと思います。

そして、『うさぎはストレスに弱い』という言葉は、今現在うさぎの生態や病気の多くが解明されておらず、病気を発症した際に明確な原因が突き止められないところに起因していると思われます。

うさぎに限らずすべての動物は、ストレスを受ければ問題行動を起こしたり、場合によっては体調を崩すケースもあります。

現代社会では多くの人がストレスによる病気を発症しています。

人と暮らすうさぎさんも例外ではありません。

人の病気もそうですが原因の特定が困難な症状の場合、その多くが原因としてストレスがあげられます。

残念ながら、人や犬、猫に比べて大きく研究が遅れいているうさぎでは、

病気の発症のメカニズムもよくわかっていないことの方が多いのが現状です。

うさぎが特別というわけではありません。

そんなうさぎさんを病気から守ったり、予防したり、回復を手助けしたりするには、少しでもストレスをかけない方が良いだろうということです。

つまり、ストレスが原因かどうかは判別できないが、ストレスが原因ではないとは言い切れない。ストレスをかけ過ぎないように配慮することができるのであれば、ストレスをかけないようにすることが今できる唯一の方法であるということです。

まとめ

今まで見てきたように

うさぎさんは特別病気にかかりやすいわけでもストレスに弱いわけでもありません。

ただ、うさぎさんの健康を考えたとき、過度にストレスを与えることは禁物です。

騒音や振動などで落ち着かない環境や小さなお子様が追い掛け回わされる環境を想像してみてください。

そのような状況が続けば誰でも体調を崩すことは容易に想像できます。

是非普段から体調を気にしてあげながら、過度なストレスを与えないように環境を整えて、うさぎさんと暮らしを楽しんでいただければと思います。


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うさぎタイムズ編集長。 うさぎ専門店「ラビット・リンク」のオーナー。 一般社団法人うさぎの環境エンリッチメント協会 専務理事。 埼玉動物海洋専門学校 特別講師。 ExoticpetSaver FirstResponder。 ExoticpetSaver Emergency Rescue Technician。