コクシジウムとは?

コクシジウムとは単細胞生物の原虫の一種で、さまざまな種類があります。病原性がない種類もありますが、主にアイメリア属というグループのコクシジウムに感染(寄生)することでコクシジウム症を発症します。

コクシジウムに感染すると、うさぎのウンチの中に卵のようなもの(卵様ののう胞体)が排出されます。それをオーシストといいます。

オーシストは1~4日で感染力を持つ成熟オーシストになります。感染力のあるオーシストを摂取(主に口から)するとスポロゾイト(原虫の胞子)が細胞に感染し、増殖していきます。

 

コクシジウム症の症状

健康で体力があるときは感染していても無症状の場合もあります。ストレスなどで免疫力が低下しているときなどは症状が出やすく、とくに体力のない子うさぎでは重症になることがあります。

コクシジウムは腸または肝・胆道系(肝臓、胆管など)に寄生します。

  • 腸コクシジウム症

下痢、食欲低下、体重減少、お腹が膨らむなどの症状が出ます。水のような下痢をして脱水症状などを起こし、衰弱から死に至ることもあります。

多いのは、お迎えしたばかりの子うさぎがコクシジウム症を発症するケース。それまで不衛生な環境で過ごすなどしてオーシストに感染していて、急な環境の変化や食事の変化、移動などのストレスから発症することが多いのかもしれません。

お迎え時に食欲や元気があってもゆるいウンチをしていたら、念のためにウンチを持参し動物病院で検査をしてもらうようにしましょう。

  • 肝コクシジウム症

大人うさぎは感染していても症状が出ない場合が多く、主に子うさぎで発症が見られます。発育不良、お腹が膨らむ、黄疸、衰弱などの症状が出ます。

緩いウンチ

コクシジウム症の治療

ウンチを持参しての検査(糞便検査)により、オーシストが発見され、コクシジウム症と診断されると駆虫薬(抗原虫薬)の投与を行います。

下痢で脱水を起こしている場合は輸液の点滴、食べられない状態なら強制給餌を行うこともあります。

症状に応じて整腸剤や抗菌薬、食欲増進剤なども使って治療します。

 

コクシジウム症の予防

ウンチがいつも床に転がっている、トイレは何日も掃除しておらずウンチが溜まっている……そんな不衛生な状態は危険です。

トイレやケージの掃除をさぼらず毎日行い、衛生的な状態を保ち感染を防ぎましょう。

排泄されたばかりのオーシストには感染力がありませんが、時間が経つと感染力を持つようになります。こまめに掃除をして再感染を予防しましょう。

感染していても無症状の場合もあります。もし同居しているうさぎがコクシジウム症を発症した場合、ほかのうさぎも症状が出ていなくても感染している可能性が高いため、一緒に検査・治療を行いましょう。

一時的に生活空間を分けるのも一案です。


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齊藤万里子

うさぎの専門雑誌『うさぎと暮らす』元編集長。 『うちのうさぎのキモチがわかる本』元編集部員。 現在はフリーでペット関連書籍・雑誌の執筆・編集を行う。