乳腺の病気とは

乳腺の病気は、女の子うさぎ特有の病気です。子宮疾患より発症率は低くなりますが、女の子うさぎの飼い主さんは知識を持っておきたいもの。

普段の乳腺チェックや定期的な動物病院での健康診断で、早期発見に努めましょう。

乳腺炎

乳汁を作る乳腺に細菌が感染して炎症が起きる病気です。

主に乳房にできた外傷から感染します。

妊娠・授乳中のうさぎ、さらには偽妊娠中のうさぎは乳管(乳腺と乳頭をつなぐ管)が開くため感染しやすくなります。

 

・症状

乳房が腫れて硬くなったり、赤みが見られます。

乳頭から赤黒っぽい色の乳汁や黄色い膿状の乳汁が出てくることも。

悪化すると発熱したり、痛みから元気がなくなったり食欲の低下なども起こります。

 

・治療

細菌に対して効果のある抗生物質を投与し、抗炎症剤や鎮痛剤、食欲増進剤などを症状に合わせて使い治療します。

 

・予防

外傷からの感染が主になるので、ケガをしたりしないよう安全な環境作りを。

また、不衛生な環境は細菌感染の原因になるため、ケージの掃除もしっかり行いましょう。

乳腺嚢胞

性ホルモンの乱れにより起こると言われています。

乳腺に嚢胞状(体液をため込んだ袋)の腫脹(腫れ・ふくらみ)ができる病気です。

避妊手術をしていない女の子うさぎに発症します。

 

・症状

乳房にさまざまな大きさの腫脹が見られ、乳頭から茶色っぽい液体が出てくることもあります。

乳腺嚢胞からまれに感染を起こし乳腺炎になったり、乳腺嚢胞が進行し乳腺腫瘍になることもあります。

 

・治療

子宮・卵巣の摘出(避妊手術)を行います。

 

・予防

卵巣から出る性ホルモンが原因のため、避妊手術をすることで予防できます。

 

乳腺腫瘍

乳房にしこり(腫瘍)ができる病気です。

悪性の場合は乳腺癌となり、肺やリンパ節に転移することもあります。

 

・症状

乳腺が腫れて乳房にしこりが見られます。腫瘍が大きくなったり、自分で気にしてかじったり、床にこすったりすると皮膚が破れて潰れ、潰瘍となることも。

 

・治療

腫瘍の摘出手術を行います。年齢などにより摘出が困難な場合は、サプリメントで転移の進行を遅らせることができることもあります。

 

・予防

乳腺腫瘍の原因は特定されていませんが、他の乳腺の病気と同じように卵巣からの性ホルモンが原因と考えられ避妊手術をすることで予防できるとされています。


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齊藤万里子

うさぎの専門雑誌『うさぎと暮らす』元編集長。 『うちのうさぎのキモチがわかる本』元編集部員。 現在はフリーでペット関連書籍・雑誌の執筆・編集を行う。