【第１話】梅雨の休日

社会人になって１年目。

先日初めての梅雨の日の休日を迎えました。

外は少し暗く、雨が降っているので、私は自宅でうさぎのルークと一緒に過ごすことにしました。

ルークは私が家にいるといつも嬉しそうに傍にきてくれます。

彼の柔らかい毛を撫でながら本を読んだり、音楽を聴いたりとリラックスした時間を過ごしていました。

そんな中、突然部屋の電気が消えてしまいました。

驚いて窓の外をみてみると、近くのカフェの看板の照明も消えており、信号機も真っ暗でした。

どうやらこの一帯が停電してしまったようです。

日が暮れるまではまだまだ時間がありますが、私は一気に不安になりました。

『このまま夜になってしまったどうしよう？

今日は梅雨寒だからエアコンは大丈夫だとして、スマホのバッテリーもつかな？

あ！電気がないとガス給湯器も動かない

どうしよう。どうしよう』

さまざまな不安がぐるぐると廻って頭がいっぱいになっていたその時

指先になじみのある柔らかな感触が。

ルークです。

私の手の下に頭を入れて、いつもの「撫でろ～」の督促です。

でもこの時ばかりは

「大丈夫だよ。僕がそばにいるよ」と励ましてくれているようでした。

ルークをひとしきり撫でて、少し気持ちが落ち着いた私は、ランタンを引っ張り出して少し暗くなってきた部屋に明かりを灯してみました。

元気に走るルークの姿がランタンの優しい明かりに映し出されます。

ルークのいつもと変わらい姿にすっかり勇気づけれると、さっきまでの不安はきれいに消し去られていきました。

『こんな経験、なかなかないかも。

きっと思い出に残る一日になったんじゃないかな』

そんなことを思いながら、毛づくろいをするルークをのんびり眺めていました。