【第２話】三角関係

今日も暑い1日になりそうだ。

美咲がキッチンで野菜を洗っている。

二人の朝食の準備をしてくれているのかと思えば、福助の朝食が先のようだ。

福助は美咲と暮らすコロコロとしたウサギで、興味津々の目差しで美咲の動きを追いかけている。

美咲は新鮮な野菜を小さなお皿に彩り豊かに盛り付けながら、福助が喜ぶことを想像しているのか嬉々としている。

福助の目には、鮮やかな野菜の色が見えているのだろうか？

そんなことはお構いなしに、準備ができた野菜をケージの中に差し入れて、しばらくむしゃむしゃと飛びついて食べている福助の様子を眺めている。

美咲にとっては、朝のこの瞬間がとても幸せな時間のようだ。

美咲が福助を眺めている間に、トーストの準備をすると、美咲が「ごめんごめん、すぐに作るね」と言って笑顔で振り向いた。

二人で朝食の準備をして、テーブルの上に朝食を並べると、福助の朝ごはんと同じ品数なのに気づいた。

トースト、野菜サラダ、目玉焼き、コーヒー。

牧草、ラビットフード、生野菜、お水。

「福助は、人と変わらない食生活だね。」と笑いながら、福助は見た目でも美味しいと感じるのだろうかと、トーストを食べながら美咲に聞くと、「きっと色鮮やかな方が好きだと思うよ。」と笑いながら

朝食が終わって福助をケージから出すと、一目散に俺のところにやってきて膝に飛び乗った。

美咲は悔しがるが、福助は俺のことが好きなようだ。

福助を撫でながら、3人の相関図を思い浮かべてにやけてしまった。

俺→美咲→福助→俺

これからも俺だけが気付いた3人の微妙な関係を楽しもう。