新しい兄妹

「ただいま」

僕は、玄関ドアを開けて声をかけた。

久しぶりの実家は、いつもとなにも変わらずそこにあって、なぜか安心できる。

「お帰りなさい。祐介」

母さんがフェレットのココを抱っこして玄関に姿を見せた。

父さんと母さんは、僕たちが家を出てからフェレットを新しい家族に迎えた。

僕たちがいないことで少し寂しかったのだろうと思う。

今ではココとサラと一緒に楽しく暮らしているそうだ。

「お帰り。祐介」

父さんが奥から顔を出した。足元にはフェレットのサラがついてきていた。

父さんは足元のサラを見てニコニコしながら僕を出迎えてくれた。

「父さん、母さん、元気だった？」 僕はリビングに向かいながら話しかけた。

「二人とも元気よ。祐介こそ元気にしてた？」

「僕のことは心配いらないよ。ちゃんとご飯も食べているから」

「それならいいけど、仕事の方は忙しいの？」

母さんの質問に答えながらココの頭を撫でると、ココが両手で僕の手を摑まえようとする。

「毎日こんな感じでココとサラと遊んでいるのよ」 母さんが言った。

「ほんとだよ。この子たちはすごいんだ。色々なことを覚えて、やってくれるんだ」 父さんが
言った。

「そうなの？どんなこと？」 僕は興味津々で聞いた。

「例えばね、ココはトイレを覚えたのよ。ケージの中にあるトイレにちゃんと入って用を足
すのよ」 母さんが言った。

「それはすごいね。でも、サラは？」 僕はサラを見た。

「サラはね、まだ覚えてないんだ。でも、ココが教えてくれるんだよ。ココがトイレに入ると、サラもついて行って、見てるんだ」 父さんが言った。

「それはかわいいね。でも、サラは見てるだけでやらないの？」 僕は笑った。

「そうなのよ。サラは見てるだけで、やらないの。でも、それもまた彼女の個性だと思うわ」母さんが言った。

「そうなんだよ。二人はそれぞれに個性があって、面白いんだよ。ココは好奇心旺盛で、色々なものに興味を示して部屋中を探検して回るんだ。サラはおっとりしていて、甘えん坊だから、いつも父さんの後をついてくるんだ」 父さんが嬉しそうに言った。

「それは僕たち兄妹に似てるね。ココは僕みたいで、サラは陽菜みたいだね」 僕は言った。

「そうね。遊園地に行くと祐介はいつも走り回っていたわね。陽菜はお父さんにくっついていたわ。」 母さんが言った。

「陽菜もそんな頃があったね」 父さんは懐かしそうに言った。

「コーヒーでも飲もうか」 父さんが誘った。

「うん、そうしよう」 僕は父さんとキッチンに立った。

ココとサラも一緒についてきて、僕の足元に寄ってきた。 僕は彼らを抱っこしてあげた。

彼らはもっと遊びたいとばかりに体をくねくねとよじりだした。

僕は久しぶりの実家で、フェレットと両親と一緒に過ごすことにした。